ホームページ制作の流れというと、問い合わせをして、打ち合わせをして、デザインが出てきて、制作が進んで、公開される。おおまかにはそんなイメージを持たれている方が多いのではないでしょうか。
たしかに、表面的に見れば多くの制作会社の流れは似ています。見積りがあり、契約があり、ヒアリングがあり、制作があり、公開がある。その順番自体はそれほど珍しいものではありません。
ただ、実際には、同じように見える制作フローでも、その中身はかなり違います。そして、その違いは出来上がるホームページの質や、その後の運用のしやすさに大きく影響します。
特に介護事業所のホームページでは、この差がそのまま成果の差になりやすいと感じています。なぜなら、介護事業のホームページは、単純に会社案内を載せればよいものではないからです。利用者本人や家族、ケアマネジャー、医療機関、行政、地域住民、求職者など、見る相手が多く、それぞれ知りたい情報も違います。しかも制度の変化や事業所の増減など、事業の側も変化していきます。
前回の記事で介護事業者がホームページで失敗するパターンを紹介しましたが、制作のフローの中にその失敗があると言っても過言ではありません。
そう考えると、ホームページ制作で本当に大切なのは、見た目のデザインより先に、どうやって情報を整理し、どんな手順で形にしていくかということになります。
今回は、ホームページ制作の流れをあらためて分解しながら、一般的な制作フローと介護事業を専門に行っている私たちウェルコネクトの進め方の違いについて整理してみます。
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ホームページ制作の流れは「どこも同じ」ではない
ホームページ制作には、標準的な進め方があるようでいて、実際には制作会社ごとにかなり考え方が違います。
一般的には、打ち合わせをして、その内容をもとにデザインや構成が決まっていく流れが多いと思います。この進め方自体が間違っているわけではありません。ただ、介護事業所のホームページ制作では、この「打ち合わせ中心」の進め方だけでは整理しきれない情報が多すぎることがあります。
一度の面談で聞ける情報量には限界があります。これは介護業界の方なら感覚的によく分かるはずです。たとえば、ケアマネさんが新規の利用者の初回訪問で、インテーク・重要事項説明・契約・アセスメントまでの一連の流れ、60分で終わりますか?終わったとしても、事務所に帰ってから「あ、あれ聞き損ねた!」「説明し忘れてた!」ってこと、ありますよね。ええ、ケアマネをしていましたので、わかります・・・。
また、一般的に連続して集中が保てる時間には個人差はあれど限度があります。確認したことでも忘れてたり、曖昧になってしまうこともあるはずです。
打ち合わせで確認しなければならないこと、ホームページに掲載したい内容は多岐に渡ります。事業所の特徴、サービス内容、対象者、地域との関係、採用の状況、他事業所との違い、将来的な展開。こうした内容を、限られた時間の打ち合わせだけで十分に整理するのは簡単ではありません。
しかも、多くの制作会社と介護事業者のあいだには、介護という事業に関する情報量のギャップがあります。一般的な制作会社は介護業界のことを知りません。訪問介護とデイサービスの違いですら、多くの制作会社はわからないのです。
事業所側にとっては当たり前のことでも、制作会社側には前提知識がない。訪問介護のサイトだというのに、使われている写真素材やイラストがみんな老人ホームっぽい写真素材だったら、がっかりしませんか?そのギャップを埋めるだけで時間がかかり、肝心のサイト構成や見せ方の検討にたどり着くまでに消耗してしまうこともあります。
介護業界に精通したデザイナーであれば、このような無駄や負担を軽減できます。そして、その違いがホームページの完成度にそのまま表れます。
介護事業所のホームページ制作が難しい理由
介護事業所のホームページ制作が一般的な企業サイトより難しくなりやすいのは、情報の量が多いからだけではありません。情報の種類が多く、しかもそれぞれの関係性を整理しなければならないからです。
たとえば、一つの法人の中に複数の事業所があり、サービスも複数ある場合、それだけでサイト構造は複雑になります。法人全体として伝えるべきことと、事業所ごとに伝えるべきことは違います。採用情報として見せるべきことと、利用を検討している家族に向けて見せるべきことも違います。
たとえば、法人内にABCという拠点があって、A拠点には特養とデイサービスがあり、B拠点にはグループホームと小規模多機能とデイサービスがある。
といった複合的なサービス展開をするケースも少なくありません。
この場合、サービスの種別を軸にサイト構成を作るのか、拠点を軸にサイト構成を作るのか、という構成の仕方の難しさもあります。
さらに、採用に関しては、拠点やサービス種別だけでなく、職種という採用に関してはより大きな軸が必要になります。
このように、誰に情報を届けたいか、という視点がないと、サイト制作が迷子になってしまいます。
さらに、介護業界には業界特有の言葉や制度、連携の文脈があります。ケアマネジャーとの関係、医療機関との連携、行政との接点、地域との結びつき。そうした要素は、一般的なコーポレートサイトではそこまで強く意識しなくてよいことも多いですが、介護事業所では重要な意味を持ちます。このページは医療機関やケアマネ向けのページだから専門用語を使うが、このページは利用者向けのページだからわかりやすさを重視しなければいけない、などの配慮ができるかどうかも重要です。
だからこそ、介護事業所のホームページは、ただページを作ればよいわけではありません。どの情報を、誰に向けて、どう見せるかを整理するところから始める必要があります。ここを飛ばしてしまうと、見た目は整っていても、あとから使いにくいサイトになっていきます。
ウェルコネクトのホームページ制作の流れ

わたしたち、ウェルコネクトのサイト制作の流れも簡単に紹介します。
見積り依頼から始まり、契約、アセスメント、準備、制作、公開、請求・支払い、管理・更新という順になっています。多くの制作業者と流れ自体は大きく変わりません。
アセスメントシートは Google フォームによるアンケート形式で行い、イメージするサイト構成やデザイン、配色、参考サイト、公開したいコンテンツ、自社の強みなどを事前に整理する資料として使うと明記されています。さらに、その情報をもとにサイトマップや制作スケジュールを作成し、制作中のページは随時テストサーバーにアップして確認できる流れになっています。
項目ごとに制作の流れの特徴を解説します。
- 見積り
- 最初は見積りです。見積り依頼フォームから必要事項を送信し、その後に見積書が郵送される流れになっています。見積金額はページ数の増加やプログラム設置などで変更の可能性がありますが、基本はセット料金なので変更されることはほぼありません。
見積段階でサイトの構成案や提案書を作成しておりますので、サイト制作のイメージがしやすくなっているのが特徴です。
- 契約
- 見積や提案の内容で合意となれば契約を行います。基本、ドラフトをメールで送付し、その内容で問題なければ書面を送付して契約となります。電子での契約も可能です。
- アセスメント
- 契約後に入るのがアセスメントです。ここでただ話を聞くだけではなく、フォームを通じて事業所側の頭の中にある情報を一度言語化し、整理していく。どんな構成を考えているのか、どんな雰囲気にしたいのか、どんな強みを伝えたいのか。
そうした内容を、いったんラフな状態でキャッチするということを目指しています。
- 制作準備
- アセスメントの内容をもとに、サイトマップと制作スケジュールを提案。並行して、ドメインやサーバーの準備も進めます。クライアント側には、ホームページに使う文章や写真、画像などの準備を依頼しています。
- 制作
- できあがったら「こんなはずじゃなかった」ということを避けるため、制作段階の状況を可視化することを意識しています。
随時テストサーバーにアップされ、制作状況をいつでも確認できる環境が用意されます。完成までブラックボックスにならず、途中経過を見ながら進められるのは、依頼側にとっても安心感につながるはずです。
- 公開
- 完成し、確認が取れ次第公開日時を決定します。
基本的には夜間に公開します。
公開後に検索エンジンへの登録などを含めた初期SEO設定などを行い、メールフォームの送信確認なども実施します。
- 更新・管理維持
- サイトは作って公開して終わりではありません。掲載内容の修正やアクセス状況の異常検知、年1回の検索表示順位のレポートなどを行います。ホームページと事業所の成長を支援するのが私たちの役割です。
なぜアセスメントが必要なのか
この制作フローの中で、最も特徴的なのはやはりアセスメントです。
ホームページ制作に慣れていない事業所ほど、最初の打ち合わせで何を伝えればよいのか分からないことが多いものです。逆に制作会社側も、限られた時間の会話の中で必要な情報をすべて引き出すのは簡単ではありません。
特に現場を兼務することが多い介護の事業所ではゆっくり落ち着いて打ち合わせをする時間を捻出することは本当に困難です。
むしろ、打ち合わせをしたとしても、「伝えきれなかった」という後悔ばかりを残してしまうケースが少なくありませんでした。
だからこそ、対面での打ち合わせを前提にせず、メールでの随時連絡と、情報を整理しておくための仕組みが必要になります。
アセスメントの役割は、単なる事前アンケートではありません。制作の方向性を決めるための土台を作ることです。事業所側が持っている情報や思い、言語化しきれていなかった強み、参考にしたい見せ方などを、制作に使える形に変えていく工程だと言えます。
何が事業所の課題なのか、何を解決したいのか、ホームページに何を求めたいのか、事業所が何を目指しているのか。こうした方向性の確認なしに、デザインはこういうのがいい、というステップに入ってしまうと、後戻りが効かなくなります。
アセスメントを最初にしっかり行うことは、遠回りに見えて、実は一番効率のよい進め方です。制作を早く進めるために必要なのは、最初にちゃんと立ち止まることなのだと思います。
制作フローの違いが何を変えるのか
では、一般的な制作フローと、情報整理を重視した制作フローの違いは、最終的にどこに表れるのでしょうか。
一つは、制作途中の迷いの少なさです。方向性が整理されていれば、途中で「やっぱり採用をもっと見せたい」「このサービスも強く出したい」「このページはいらないかもしれない」といった揺れが減ります。もちろん修正はありますが、土台があるので、修正が前向きな調整になります。
もう一つは、サイト構成の整い方です。最初にサイトマップをきちんと作り、情報の置き場所を整理しておけば、ページを増やしても全体が崩れにくくなります。特に介護事業所のように、拠点やサービスの追加、採用強化など、将来的な変化が起こりやすい場合、この差は大きいと思います。
そして最後に、公開後の運用のしやすさです。公開後の更新は最後の章で触れますが、運用しやすいサイトは、公開後に突然生まれるものではありません。制作の最初の段階で、どの情報をどう整理し、どこを更新しやすくしておくかを考えているかどうかで、後々の使いやすさが変わります。
制作フローの違いは、単なる進め方の好みではなく、サイトの未来の違いでもあります。
ホームページ制作は「一緒に作るプロジェクト」
ホームページは制作業者へ「お任せ」ではなく、一緒に作っていくものと考えています。
この考え方は、介護事業所のホームページ制作にはとても重要です。
ホームページ制作というと、どうしても「プロに頼めばいい」「任せておけば形になる」というイメージを持たれやすいかもしれません。もちろん、制作技術やデザイン、構築は制作会社の役割です。ただ、その前提となる情報や、現場で本当に伝えるべきことは、事業所側にしかありません。
ただ、介護事業所の目指すゴールはひとつではありませんし、持っている課題もひとつではありません。どんな利用者に来てほしいのか。地域の中でどんな役割を担っているのか。どんな職員に仲間になってほしいのか。そこが整理されてはじめて、ホームページはその事業所らしいものになります。
制作会社にすべて任せるのではなく、事業所側も一緒に情報を整理し、判断し、形にしていく。その姿勢があると、ホームページは単なる外注物ではなく、事業のためのツールになっていきます。
ホームページは公開して終わりではない
ここまで、公開までの流れに焦点を当ててきましたが、やはり最後に触れておきたいのは公開後のことです。
ホームページは、公開して終わりではありません。むしろ、本当に価値が問われるのは公開後です。
ただし、公開後の更新や改善がうまく回るかどうかは、公開後の努力だけで決まるものではありません。制作の段階で、どれだけ情報が整理されているか、どれだけ更新や追加を見越した構造になっているかで、大きく変わります。
介護業界は変化の多い業界です。制度改正、事業展開、採用状況、地域との関係。そうした変化に合わせてホームページも少しずつ育てていく必要があります。だからこそ、公開までの流れをどう組み立てるかが重要なのです。
最初の制作フローがしっかりしていれば、公開後の運用も無理なく続けやすくなります。逆に、最初の整理が不十分なまま公開してしまうと、その後の修正や更新がどんどん重くなっていきます。
ホームページ制作を検討している方へ
ホームページ制作を検討する時、料金やデザインの印象に目が向きやすいのは自然なことです。ただ、もう一つ見ておきたいのが、その制作会社がどんな流れで仕事を進めているかです。
打ち合わせ中心で進むのか。事前に情報整理を行うのか。サイトマップをきちんと作るのか。途中経過を確認できるのか。公開後のことまで見据えているのか。こうした違いは、出来上がるサイトの質に直結します。
特に介護事業所のホームページでは、情報量の多さと業界特有の文脈をどう扱うかが大きなポイントになります。一度の面談で全部を決めようとしないこと。情報ギャップを前提に、整理の工程をきちんと持つこと。そのうえで、一緒に作っていける制作会社かどうかを見ることが大切だと思います。
制作会社を比較する時には、結果として完成したデザインだけでなく、その前のプロセスにも目を向けてみてください。

編集:
介護福祉ウェブ制作ウェルコネクト編集部(主任介護支援専門員)
ケアマネジャーや地域包括支援センターなど相談業務に携わった経験や多職種連携スキルをもとに、介護福祉専門のウェブ制作ウェルコネクトを設立。情報発信と介護事業者に特化したウェブ制作サービスとAIを活用した業務改善提案を行う。



