居宅介護支援にも、介護職員等処遇改善加算が始まりました。
加算率は2.1%です。
この数字だけを見ると、「たった2.1%で何が変わるの?」と懐疑的になる方も多いでしょう。
しかし、処遇改善加算は、ケアマネの待遇改善を考えるうえで避けて通れないテーマになりました。
特に採用に悩む居宅介護支援事業所にとっては、単に加算を算定するだけでなく、その内容をどう発信するかが問われます。
この記事では、処遇改善加算なしの事業所、処遇改善加算ありの事業所、さらに特定事業所加算Ⅰを算定している事業所を比較しながら、ケアマネに選ばれる居宅介護支援事業所の採用発信について考えます。
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居宅介護支援の処遇改善加算は、もう始まっている

居宅介護支援事業所の処遇改善加算、すでに制度は始まっています。
令和8年度の介護報酬改定により、居宅介護支援・介護予防支援にも介護職員等処遇改善加算が設けられました。加算率は2.1%です。
これまで、処遇改善加算といえば訪問介護や通所介護など、介護職員を中心としたサービスが主な対象でした。
そのため、居宅介護支援事業所で働くケアマネジャーは、処遇改善の議論から外れがちでした。
しかし、今回の改定で状況は変わりました。
居宅介護支援にも処遇改善加算が入り、ケアマネの賃金改善について、制度上の原資が用意されるようになりました。
問題は、その原資をどう使い、どう発信し、どう採用に活かすかです。
処遇改善の有無でケアマネの待遇はどう変わるか
では、実際にどのくらいの金額になるのでしょうか。
ここでは、わかりやすくするために、ケアマネ1人が35件を担当しているケースで試算します。
前提は次の通りです。
前提条件
【利用者】
要介護1・2が21件
要介護3・4・5が14件
【介護報酬】居宅介護支援費Ⅰ
要介護1・2が1,086単位
要介護3・4・5が1,411単位
1単位10円で試算
加算などはない前提とする
まず、特定事業所加算も処遇改善加算もない場合です。
| 項目 | 計算 | 単位 |
|---|---|---|
| 要介護1・2 | 1,086単位 × 21件 | 22,806単位 |
| 要介護3・4・5 | 1,411単位 × 14件 | 19,754単位 |
| 合計 | 42,560単位 | |
| 1単位10円換算 | 425,600円 |
この場合、ケアマネ1人の35件担当分として、月42,560単位、1単位10円換算で425,600円/月の報酬イメージになります。
もちろん、ここから人件費、事務所経費、システム利用料、通信費、研修費、法人管理費などが発生します。
居宅介護支援は、人員基準を満たせば成り立つ単純な事業ではありません。
この状態でケアマネの給与を上げようとしても、原資には限りがあります。
特に、主任ケアマネや経験者ケアマネを採用しようとすると、求人票上の給与だけで他事業所と競争するのは簡単ではありません。
ここに処遇改善加算2.1%が加わると、どう変わるのでしょうか。
処遇改善加算2.1%が入ると、無印の居宅でも月9,000円近い原資になる

次に、特定事業所加算は算定していないものの、処遇改善加算2.1%を算定する場合です。
処遇改善加算は、処遇改善加算を除く1か月あたりの総単位数に加算率を掛けて算定します。居宅介護支援の場合、加算率は2.1%です。
先ほどの42,560単位に2.1%を掛けると、次のようになります。
| 項目 | 計算 | 単位・金額 |
|---|---|---|
| 処遇改善加算なしの総単位数 | 42,560単位 | |
| 処遇改善加算2.1% | 42,560単位 × 2.1% | 約894単位 |
| 1単位10円換算 | 約8,940円 | |
| 処遇改善加算込みの合計 | 42,560単位+約894単位 | 約43,454単位 |
| 1単位10円換算 | 約434,540円 |
「たった2.1%」でも、35件を担当しているケアマネ1人分で見ると、月9,000円近い賃金改善原資になります。
ここは、居宅介護支援事業所の経営者や管理者にとって、きちんと見ておきたい数字です。
もちろん、この約8,940円がそのままケアマネ個人の手取りになるわけではありません。
処遇改善加算の算定額に相当する額は、基本給、手当、賞与等による賃金改善に充てる必要があります。法定福利費等の事業主負担増も含めることができるため、本人の手取り増とは一致しません。
ただし、ここは断言できます。
処遇改善加算を算定すれば、居宅介護支援事業所にもケアマネの賃金改善を語るための原資が生まれます。
小さいと思えるかもしれない2.1%が、月にひとりおよそ9,000円。年間で10万円を超える金額になります。
これは無視できない金額ではないでしょうか。
特定事業所加算Ⅰを算定していると、処遇改善原資はさらに大きくなる
ここからが重要です。
処遇改善加算は、基本報酬だけに掛かるものではありません。
特定事業所加算などを含めた、処遇改善加算を除く総単位数に対して2.1%を掛けます。
つまり、特定事業所加算を算定している事業所では、処遇改善加算の原資も大きくなります。
特定事業所加算Ⅰは、令和6年度改定後、519単位/月の上乗せとなります。
先ほどと同じ35件で、特定事業所加算Ⅰを35件分算定していると仮定すると、次のようになります。
| 項目 | 計算 | 単位 |
|---|---|---|
| 基本報酬合計 | 42,560単位 | |
| 特定事業所加算Ⅰ | 519単位 × 35件 | 18,165単位 |
| 処遇改善加算を除く総単位数 | 42,560単位+18,165単位 | 60,725単位 |
| 処遇改善加算2.1% | 60,725単位 × 2.1% | 約1,275単位 |
| 1単位10円換算 | 約12,750円 |
特定事業所加算Ⅰを算定している場合、処遇改善加算の原資は月約12,750円になります。
これでも「たった2.1%でしょ」と言えますか?
2.1%という数字だけを見れば小さく見えます。
しかし、特定事業所加算Ⅰを含めて計算すれば、ケアマネ1人の担当分で月1.2万円を超える規模の賃金改善原資になるケースがあります。
これは、採用で伝えるには十分に意味のある金額です。
月1万円を超える待遇改善の可能性がある。年間で15万円を超える金額になるのです。
これは、ケアマネ採用において大きなアピール材料になります。
3つのパターンで比較すると、差ははっきり見える

ここで、3つのパターンを比較してみましょう。
| パターン | 基本報酬 | 特定事業所加算Ⅰ | 処遇改善加算2.1% | 1単位10円換算の処遇改善原資 | 合計報酬イメージ |
|---|---|---|---|---|---|
| 処遇改善なし・特定なし | 42,560単位 | なし | なし | 0円 | 約425,600円 |
| 処遇改善あり・特定なし | 42,560単位 | なし | 約894単位 | 約8,940円 | 約434,540円 |
| 処遇改善あり・特定Ⅰ | 42,560単位 | 18,165単位 | 約1,275単位 | 約12,750円 | 約620,000円 |
この表を見ると、違いは明らかです。
処遇改善加算がなければ、賃金改善原資はありません。
その差は職員の待遇やモチベーション、そして採用にも大きくかかわります。
もちろん、この比較はあくまで試算です。
地域区分、実際の担当件数、要介護度の構成、初回加算、入院時情報連携加算、退院・退所加算、ターミナルケアマネジメント加算、減算の有無などによって金額は変わります。
それでも、方向性ははっきりしています。
処遇改善加算を算定しているか。
特定事業所加算を算定できる体制があるか。
その違いは、ケアマネの待遇改善原資にも、採用で伝えられる内容にも表れます。
出遅れた居宅介護支援事業所ほど、今すぐ発信を見直すべき
処遇改善加算への対応で出遅れている居宅介護支援事業所もあると思います。
日々の給付管理、モニタリング、サービス調整、困難ケース対応、管理業務に追われる中で、制度対応や採用ページの更新まで手が回らない。
これは、居宅介護支援の現場ではよくあることです。
しかし、求職者にとってはそんな事情は関係ありません。
求職者が見るのは、求人票とホームページです。
処遇改善を算定していない。
算定していても給与や手当の情報が古いままになっている。
特定事業所加算を算定しているのに、その体制や強みが説明されていない。
この状態では、せっかく処遇改善に取り組んでいても、求職者には伝わりません。
採用市場では事業所が実際に行っているサービスや支援内容ではなく、伝え方が重視されます。
これは厳しいですが、現実です。
どんな素晴らしいサービスを提供していても、それが伝わらなければ採用では勝ちにつながりません。
反対に、処遇改善加算への対応、特定事業所加算の算定、担当件数の考え方、ICT活用、管理者の方針がホームページで整理されていれば、求職者は面接前に安心材料を得られます。
高い紹介料を払ってケアマネを採用するなら、候補者が「ここなら働いてみたい」と思える受け皿を用意するべきです。
その受け皿が、採用ページです。
ケアマネ採用は、待遇の伝え方で二極化する

今後、居宅介護支援事業所の採用は二極化します。
一方は、処遇改善加算をきっかけに、ケアマネの待遇改善や職場環境の見直しを進める事業所です。
処遇改善加算をどう賃金改善に活用するのか。
特定事業所加算を算定できる体制をどう維持しているのか。
担当件数や困難ケースの支援をどう考えているのか。
ICTを使って、記録や連絡調整の負担をどう減らしているのか。
こうした内容を、採用ページできちんと伝えます。
もう一方は、制度対応をしていても、採用発信が変わらない事業所です。
求人票には「ケアマネ募集」とだけ書かれている。
給与欄は古いまま。
処遇改善加算への対応も書かれていない。
特定事業所加算を取っているのに、採用上の強みとして表現されていない。
この差は、求職者から見ると大きな差になります。
ケアマネは、給与だけで転職先を選んでいるわけではありません。
- 担当件数は無理がないか。
- 困難ケースを一人で抱え込まない体制があるか。
- 主任ケアマネや管理者に相談しやすいか。
- 記録や給付管理の負担を減らす仕組みがあるか。
- 休みやすい職場か。
- 法人は居宅介護支援を大切にしているか。
経験者ケアマネほど、こうした情報を見ています。
だからこそ、処遇改善加算2.1%を「ただの加算」で終わらせてはいけません。
2.1%は、ケアマネの待遇改善を語る入口です。
特定事業所加算は、職場体制を語る材料です。
ホームページは、それを求職者に伝える場所です。
採用ページに載せるべき情報
居宅介護支援事業所の採用ページでは、単に募集要項を載せるだけでは不十分です。
ケアマネが知りたいのは、「この事業所で働く理由」です。
採用ページには、少なくとも次の情報を整理して掲載したいところです。
| 掲載項目 | 伝えるべき内容 |
|---|---|
| 処遇改善加算への対応 | 算定状況、賃金改善への活用方針 |
| 賃金改善の反映方法 | 基本給、手当、賞与、一時金への考え方 |
| 特定事業所加算の算定状況 | 体制が整った居宅であること |
| 担当件数の考え方 | 件数だけを追わせない運営方針 |
| 困難ケースへの支援体制 | 管理者や主任ケアマネが支える仕組み |
| ICT活用 | 記録、給付管理、連絡調整の負担軽減 |
| 研修・キャリア支援 | 主任ケアマネ、管理者候補への道筋 |
| 管理者メッセージ | ケアマネをどう支える職場なのか |
| 職員インタビュー | 実際の働き方、相談体制、残業の実情 |
ここで大切なのは、きれいな言葉を並べることではありません。
実際に取り組んでいることを、求職者に伝わる言葉に変えることです。
「処遇改善加算を算定しています」だけでは、求職者には響きません。

「処遇改善加算を活用し、ケアマネの待遇改善に取り組んでいます」
「特定事業所加算Ⅰを算定できる体制を整え、困難ケースを一人で抱え込まない仕組みをつくっています」
「記録や給付管理の負担を減らすため、ICT活用を進めています」
「主任ケアマネや管理者候補として成長したい方を支援します」
ここまで言葉にして、具体的に落とし込み、キャリアイメージが伝えられるようになって初めて採用の武器になります。
2.1%を小さな加算で終わらせるか、採用の武器に変えるか
居宅介護支援の処遇改善加算は、すでに始まっています。
加算率は2.1%です。
数字だけを見れば、小さく感じるかもしれません。
しかし、特定事業所加算を算定していない事業所でも、月9,000円近い賃金改善原資になるケースがあります。
特定事業所加算Ⅰを算定している事業所では、月1.2万円を超える規模の原資になるケースもあります。
もちろん、その金額がそのままケアマネ本人の手取りや基本給に上乗せされるわけではありません。
処遇改善加算は、基本給、手当、賞与等による賃金改善に充てる仕組みであり、法定福利費等の事業主負担増も含めて管理されます。
それでも、居宅介護支援事業所がケアマネの待遇改善を具体的に語れるようになったことは大きな変化です。
これからのケアマネ採用では、差が出ます。
処遇改善加算や特定事業所加算を活用し、待遇改善と職場環境を発信できる事業所。
制度対応はしていても、それを採用に活かせず、求人票だけで募集を続ける事業所。
ケアマネに選ばれるのは、前者です。
処遇改善加算2.1%を、小さな加算で終わらせるのか。
それとも、ケアマネ採用の武器に変えるのか。
その差は、ホームページと採用ページに表れます。
居宅介護支援事業所の採用では、求人票だけでは伝わらない情報があります。
処遇改善加算への対応、特定事業所加算を取れる体制、担当件数の考え方、ICT活用、管理者の方針、職員を支える仕組み。
これらを整理して発信できれば、直接応募だけでなく、人材紹介経由の候補者にも「この事業所で働く理由」を届けることができます。
ウェルコネクトでは、介護事業所、とくに居宅介護支援事業所の実情を踏まえたホームページ制作・採用ページ改善を行っています。
処遇改善加算を採用の武器に変えたい居宅介護支援事業所は、今こそ採用ページを見直すタイミングです。

編集:
介護福祉ウェブ制作ウェルコネクト
編集部(主任介護支援専門員)
ケアマネジャーや地域包括支援センターなど相談業務に携わった経験や多職種連携スキルをもとに、介護福祉専門のウェブ制作ウェルコネクトを設立。情報発信と介護事業者に特化したウェブ制作サービスとAIを活用した業務改善提案を行う。



