介護事業所における「広報」や「Web担当」の役割は、他の業界以上に難易度が高いのをご存じでしょうか。
しかしながら、多くの事業所は小規模で運営しており、広報を専門に担当できる職員はほとんどいません。結果として、「事務員が片手間でホームページを管理している」「採用広報もSNSも任されたけれど、何から始めればいいのか分からない」「現場が忙しくて、それどころじゃない・・・」といった声がよく聞かれます。
さらに介護業界には、個人情報保護や介護保険制度、広告ガイドラインといった厳しいルールが存在します。知らず知らずのうちに違反してしまい、利用者や家族との信頼を損ねたり、行政から指導を受けたりするリスクすらあるのです。
それでも実際には、広報やWeb運営のノウハウを学ぶ機会は限られており、多くの担当者が「手探りの自己流」で日々の情報発信を続けています。孤立感や不安を抱えながらも、誰にも相談できない。――それが、介護事業所の広報を取り巻く現実ではないでしょうか。
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課題の現実:放置されがちなウェブ広報・ホームページ

介護事業所の広報を語る上で避けて通れないのが「ホームページ」の存在です。
しかし現場からよく耳にするのは、こんな声です。
- 「とりあえず安いサービスでホームページを作ったけれど、そのまま放置している」
- 「自己責任で運営してくださいと言われ、サポートもアドバイスもなかった」
- 「更新の仕方がわからず、結局数年前から手を付けられていない」
こうした状況は決して珍しくありません。むしろ、小規模事業所ではごく一般的な現実です。伴走型でホームページ制作・更新維持をしてもらうためにはそれだけのコストがかかります。そして、そのコストに見合うだけの価値を認識していない経営者も多いのもまた現実です。もちろん、これは経営者サイドの問題というよりも、集客や採用などにウェブの効果が見えにくい業界構造などが起因しています。
放置されたホームページが抱えるリスク
更新されていないホームページは、単なる「情報の不足したホームページ」では済みません。そこには次のような深刻なリスクが潜んでいます。
- 古い情報が信頼を失わせる
料金表やスタッフ紹介が何年も前のままでは、利用者や家族は「ここは本当に信頼できるのか」と疑問を抱きます。
「説明を受けたときの料金表とホームページの料金表が全然違う!」
「求人票の情報がホームページと違う」
「最後の更新が5年前?」
ホームページは「顔」であるにもかかわらず、信頼をむしろ損ねてしまうのです。 - 法令違反の可能性
個人情報保護法や介護保険制度、広告ガイドラインは頻繁に改正されています。更新を怠れば、意図せず違反状態に陥ることもあります。プライバシーポリシーが古いまま、誇大広告にあたる表現が残ったまま――こうしたことは決して珍しくありません。
前回の介護報酬改定でも、ホームページに運営規程を掲載することが義務化されました。現状、そういった情報を収集するすべもないのです。 - 採用広報における致命的な機会損失
応募者の9割以上は応募前にホームページを確認すると言われています。情報が不足していたり古かったりすれば、それだけで「応募をやめておこう」と判断される可能性があります。 - それなのにSNSやホームページからの結果が求められる
近年ではSNSに注力する事業者も増えています。同じように、SNSをやれば利用者獲得や採用につながると考える経営者は多いのですが、当然、見様見真似では結果につながりません。とはいえ経営側からは結果を求められる。最終的には、バズることを意識しすぎるあまり、コンプライアンスを逸脱した投稿になり、信用を失墜してしまう。
経営者が見落としている「広報=信頼リスク」
ここで大きな問題なのは、広報やホームページ運営が「軽視」されがちなことです。
経営者の関心が施設運営や人員配置に集中するのは当然ですが、広報やWeb情報の管理は個人情報に直結し、ひいては事業そのものの信頼性を左右するものです。
にもかかわらず、「とりあえず安いホームページを作れば十分」「SNSも職員が空いた時間にやればいい」と考えてしまう。結果、リスク管理の視点が欠けたまま放置され、利用者・家族・求職者からの信頼を一気に失う危険を招いています。
つまり、低コストで作られた簡易サイトほど「作ったまま放置」という落とし穴に陥りやすい。その代償は、思っている以上に大きいのです。
解決の入り口:介護広報を学べるクイズアプリ
広報やホームページ運営が事業の信頼性に直結する――これは明らかなのに、学ぶ機会は驚くほど少ないのが介護業界の現実です。
- 広報やWeb運営に関するセミナーはあっても、表面的な情報だけで、詳しく教えてくれる人がいない
- 専門書籍や教材も少なく、介護業界特有のルールに対応しているものはさらに稀
- 現場の担当者は「片手間」で任されることが多く、日常業務に追われて勉強する余裕がない

結果として、「学ばなければならないこと」が山ほどあるのに、学べる場が存在しない。そして、学ぶためのコストをかけることができない。
個人情報保護、広告ガイドライン、SEO、SNS発信ルール……いずれも違反すれば信用失墜や行政指導に直結するテーマばかりなのに、担当者は“孤立”したまま走らざるを得ないのです。
こうした現状を少しでも変えたいと考え、私たちは気軽に学べる「クイズ」を誰にでもアクセスできるようにしてみようという考えにたどり着きました。
遊び感覚で答えてみるだけで、「え?これアウトなの?」と気づける。間違えてもその場で解説を読み、次に活かせる。学習ハードルをぐっと下げ、知識の入り口として使える仕掛けです。
そんなクイズアプリ「介護事業所ウェブ担当者向け〇×クイズ」がこちらです。

掲載している問題を3つだけご紹介します。
例題:サービス利用者や家族はパソコンでしかホームページを見ることがないので、スマートフォンに最適化する必要はない。
正解:×
若者はもちろん、高齢者も、パソコンよりもスマートフォンを使用する割合が高く、スマートフォンでの最適化は効果があります。また、Googleの検索エンジンの評価もモバイルファーストで、スマートフォンでの表示を重視しますので、スマートフォン対応は必須とも言えます。
例題:介護事業所がサービス事例をホームページで公開する際、情報共有の目的で、氏名のみをイニシャル表記とすることは、個人情報保護と情報共有の観点から適切な匿名化の方法である。
正解:×
利用者の具体的な事例を公開する際、氏名をイニシャル表記にしただけでは、個人特定のリスクを排除できません。特に、具体的な介護の様子や詳細な事例を掲載すると、地域や連携先の事業所など、周辺情報を持つ関係者にとっては容易に個人を識別できてしまうためです。個人情報保護を徹底するためには、特定の個人が誰であるか識別できないよう、事例を極めて一般的な情報に抽象化して公開するか、本人(または代理人)から明確に情報公開の同意を得る必要があります
例題:「地域No.1」「業界最安」などは、一般的によく使われる表現であり、誇大広告とは言えないので問題ない。
正解:×
消費者庁ガイドラインや景表法で誇大表示は処罰対象。根拠を示せる表現にする必要がある。
このような、広報・ホームページ運営・SEO・個人情報保護・AI活用など、広報・ウェブ担当者に必要な様々なジャンルを織り交ぜたクイズアプリを制作しています。
問題はランダムに出題されますので、ぜひ何度でもトライしてみてください。ただ、連続正解したとしても何もプレゼントはありません・・・。すいません。
アプリはGoogle App Script(GAS)で作成したものです。
※もしこのようなアプリを自社でも作成してほしい、というご要望があれば対応できますのでお知らせください。介護福祉士国家試験やケアマネ試験のような試験対策や、自社の方針やマニュアルで問題集を作るということも可能です。
現時点で93問の問題を設置していますので、ぜひトライしてみてください。
解決:信頼できる広報・ウェブ制作パートナーと組む

クイズは「学びの入口」にはなりますが、現実の業務はもっと複雑です。
介護事業所の広報やWeb運営には、経営リスクに直結する落とし穴が数多く存在します。
- 誤った広告表現で、自治体から指導を受けた事例
- 個人情報保護方針の不備をきっかけに、家族から強い抗議を受けた事例
- 更新されていない採用情報が原因で、応募が激減した事例
どれも「広報は片手間で十分」と軽視していたことから起こっています。
ウェブによる広報にはパートナーが不可欠な理由
介護業界には、他の業界にはない独自のルールや慣習があります。
一般的なWeb制作会社に任せても、以下の点でカバーしきれないことが多いのです。
- 広告ガイドラインや介護保険制度に関する理解不足
- 個人情報保護に特有のリスク(利用者・家族写真、事例紹介など)への感度不足
- 採用広報で必要とされる「働くイメージの伝え方」のノウハウ不足
結果として、作ったホームページは見栄えは整っても、法令遵守も採用効果も中途半端になりがちです。
わたしたち、ウェルコネクトができること
私たちウェルコネクトは、介護に特化したWeb制作・広報サポートを提供しています。
- 法令遵守を前提にした安心の制作・運営
- 制度改正や広告規制に合わせた柔軟な更新
- 採用広報・SEO・SNSまで含めた伴走サポート
つまり「作るだけ」ではなく、信頼を積み上げる広報活動を支える仕組みを提供することが私たちの役割です。経営者の視線だけでなく、実務を行う広報担当者の目線で、どのような情報発信が効果的で、どのような情報発信にリスクがあるのかも説明することができます。
まとめ
介護事業所の広報やWeb運営は、自己流や放置では済まされません。
一見小さなミスに見えても、それが法令違反や信頼の失墜につながり、事業の根幹を揺るがすことがあります。
しかし現実には、学ぶ機会は限られ、担当者は孤立しがちです。だからこそ私たちは、クイズという形で「気軽に学べる入り口」を用意しました。ほんの数問答えるだけでも、自分の広報活動に潜むリスクに気づけるはずです。
けれども、気づきだけでは十分ではありません。
大切なのは、その先にある「信頼できる体制づくり」です。介護業界特有のルールやリスクに精通したパートナーと組み、法令遵守を前提にしながら広報やWeb運営を続けていく。これこそが、利用者や家族、そして未来の職員から選ばれる事業所になるための近道です。
まずはクイズで現状を確かめてみてください。そして、その先の一歩を一緒に考えていきましょう。

編集:
介護福祉ウェブ制作ウェルコネクト編集部(主任介護支援専門員)
ケアマネジャーや地域包括支援センターなど相談業務に携わった経験や多職種連携スキルをもとに、介護福祉専門のウェブ制作ウェルコネクトを設立。情報発信と介護事業者に特化したウェブ制作サービスとAIを活用した業務改善提案を行う。