「AISEO対策をしないと、これから検索で見つけてもらえなくなります」
そんな言葉を見たり、営業を受けたりして、不安になっている介護事業所の経営者や管理者もいるかもしれません。
AISEO、LLMO、GEO、AIO・・・。
次々と新しい言葉が出てくると、何から取り組めばいいのか分からなくなります。
ただ、最初にお伝えしたいのは、こうした言葉に振り回される必要はないということです。
AI検索への対応は、たしかに無視できないテーマです。
しかし、介護事業所に必要なのは、AIにだけ効く特殊な裏技ではありません。
大切なのは、利用者家族やケアマネジャーがAIを使って情報を探すようになったとき、自分たちの事業所が正しく理解されるだけの情報を持っているかどうかです。
この記事では、AISEOは本当に必要なのか、そして介護事業所がAI検索時代にやるべきこと・やらなくていいことを整理します。
※この記事では総称してAISEOと表記いたします。

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AISEOやLLMOという言葉に振り回されない
AISEOやLLMOという言葉を目にする機会が増えています。
海外では、GEO、Generative Engine Optimizationと呼ばれる生成AI検索最適化の市場も立ち上がり始めています。Valuates Reportsによると、世界のGEOサービス市場は2024年の8億8,600万ドルから、2031年には73億1,800万ドルへ成長すると予測されています。
この数字をそのまま日本の介護業界に当てはめることはできません。
ただ、AI検索対応がWebマーケティング業界の新しい営業テーマになっていくことは、十分に考えられます。
おそらく今後、日本でも、
「AISEO対策をしないと検索に出なくなります」
「LLMO対策がこれからの集客に必要です」
「AIに選ばれるホームページにしましょう」
「AI検索で引用されるための施策が必要です」
といった提案は増えていくでしょう。
こうした言葉を聞くと、不安になるのは自然です。
介護事業所にとって、利用者や家族、ケアマネジャーに見つけてもらえなくなることは大きな問題です。採用でも同じです。求職者が事業所を調べるときに、検索やAIの回答に出てこなければ、選択肢にすら入らない可能性があります。
だから、AI検索への危機感そのものは間違っていません。
ただし、ここで大切なのは、不安になってすぐにAISEO商品を契約することではありません。
まず、SEOとAISEOという言葉の違いを、落ち着いて整理しておく必要があります。
| 項目 | 従来のSEO | AISEO・LLMO・GEO |
|---|---|---|
| 主な対象 | Googleなどの検索結果ページ | AI Overview、AI Mode、ChatGPT、PerplexityなどのAI回答 |
| ユーザーの行動 | キーワードで検索し、一覧からページを選ぶ | 状況や悩みを文章で相談し、AIの回答から候補を知る |
| 重要になる情報 | 地域名、サービス名、ページタイトル、本文、内部リンクなど | サービス内容、対応できる困りごと、専門性、FAQ、一次情報、文脈の明確さ |
| 介護事業所への影響 | 「〇〇市 デイサービス」などで見つけてもらう | 「認知症の母が安心して通える事業所は?」のような相談で候補に入る |
| 注意点 | 検索順位だけを追うと内容が薄くなる | AIにだけ効く裏技があるかのような説明には注意が必要 |
| 本当にやるべきこと | 検索にも人にも分かりやすいページを作る | AIにも人にも説明できるだけの情報を蓄積する |
ここで見えてくるのは、SEOとAISEOがまったく別物ではないということです。
従来のSEOでは、検索結果にページを表示させ、クリックしてもらうことが大きな目的でした。
AI検索では、AIが利用者の質問に答える中で、事業所をどう理解し、どう説明するかが重要になります。
AISEOなどに関してはAIに拾ってもらうことを目的としたさまざまな技術や手段の総称であって、これが含まれていたらAISEOといった定義が明確なものではありません。
けれど、どちらにも共通していることがあります。
それは、事業所の情報が正確で、具体的で、利用者家族やケアマネジャーの疑問に答えられる内容になっているかどうかです。
「AISEO対策」と言われたときに確認すべきなのは、それが自社のサービス内容を具体的に整理してくれるものなのか、利用者家族やケアマネジャーの疑問に答えるページを作ってくれるものなのか、対応地域や対象者、相談されたい困りごとを明確にしてくれるものなのか、古い情報を更新し、継続的に管理する仕組みまで考えてくれるものなのか、という点です。
反対に、
「AIに必ず引用されます」
「AI検索で上位に出せます」
「特殊な設定だけでAIに選ばれます」
という説明が中心で、具体的に何を改善するのかが見えない場合は、慎重に考えたほうがいいでしょう。
- LLMO.txtっていうファイルを作ってホームページ上に置いておきます。
- 短い言葉でチャンク化してAIが読み取りやすくします。
- 構造化できるものは全部構造化データという仕組みにします。
ただ、少なくとも中身がなければ、これらの施策が成功することはありません。
AISEOという言葉に振り回される必要はありません。
けれど、AI検索時代に向けて何もしなくていいわけでもありません。
本当に考えるべきなのは、流行語としてのAISEOではなく、AIにも人にも伝わる情報を、自社のホームページに整えていくことです。
Googleは「AI専用の特別な最適化」を求めていない
AI検索対応が必要だとしても、AIにだけ効く特別なSEOがあるかのような説明には注意が必要です。
ここで確認しておきたいのが、Googleの公式見解です。
Googleは、AI OverviewsやAI ModeなどのAI検索機能に表示されるために、追加の要件や特別な最適化は必要ないと説明しています。むしろ、AI機能においても、従来のGoogle検索向けSEOの基本的なベストプラクティスが引き続き重要だとしています。
またGoogleは、AI検索への対応について、AI専用の機械可読ファイル、AI専用テキストファイル、特別なマークアップ、Markdownなどを新たに作る必要はないとも説明しています。
生成 AI 検索の進化に伴い、それを取り巻く理論や実践、そしてときには誤解も進化してきました。オンラインでは、回答エンジン最適化(AEO)や生成エンジン最適化(GEO)などの用語がよく使われますが、提案されている「ハック」の多くは効果がなく、Google 検索の実際の仕組みによってもサポートされていません。
※参照:Google公式「Google 検索の生成 AI 機能向けにウェブサイトを最適化する」より
つまり、少なくともGoogle検索においては、
という話ではありません。
もちろん、技術的な整備が不要という意味ではありません。
検索エンジンが読み取りやすいサイト構造。
スマートフォンでの見やすさ。
ページ速度。
適切な見出し。
内部リンク。
必要に応じたデータの構造化。
Googleビジネスプロフィールとの整合性。
更新されている情報。
こうした基本は、これからも重要です。
ただし、それらはAIだけに効く魔法ではありません。
通常検索にも、AI検索にも、利用者家族にも、ケアマネジャーにも伝わりやすくするための基本整備です。
Googleは別の記事でも、AI OverviewsやAI Modeによって、人々がより複雑で長い質問を検索に投げかけるようになっていると説明しています。
ここが重要です。
AI検索時代に変わるのは、単に検索結果の見た目だけではありません。
人々の検索行動そのものが変わっていきます。
これまでの検索では、
「〇〇市 デイサービス」
「訪問看護 〇〇区」
「居宅介護支援事業所 近く」
のように、短いキーワードで探すことが中心でした。
しかしAI検索では、
「母が認知症で、入浴を嫌がっています。〇〇市で相談しやすいデイサービスはありますか」
「退院後に訪問看護を探しています。医療的ケアが必要で、家族も不安が強いです。どんな事業所に相談すればいいですか」
「父が介護サービスを拒否しています。関わりを丁寧にしてくれる事業所はありますか」
のように、状況や悩みを含めた相談に近づいていきます。
だから、AI検索対応で本当に考えるべきことは、特殊なタグや裏技ではありません。
AIがその質問に答えようとしたときに、自社のホームページに十分な情報があるか。
利用者家族やケアマネジャーの具体的な問いに答えられる内容になっているか。
事業所の特徴や支援の考え方が、抽象的な理念ではなく、具体的な言葉で書かれているか。
それこそが重要なのです。
AI検索時代に怖いのは、AISEOという流行語に乗り遅れることではありません。
本当に怖いのは、利用者家族やケアマネジャーの検索行動が変わったときに、自社のホームページがその問いに答えられない状態になっていることです。
介護事業所に必要なのは「会話に耐えられる情報量」
AI検索時代の大きな特徴は、検索が一問一答で終わらないことです。
利用者家族がAIに事業所探しを相談した場合、最初の質問だけで終わるとは限りません。
「認知症でも大丈夫ですか」
「入浴を嫌がる場合はどう対応してくれますか」
「見学前に相談できますか」
「家族への連絡はどのくらいしてくれますか」
「ケアマネを通さずに問い合わせてもいいですか」
「退院直後でも受け入れられますか」
「男性利用者でもなじめますか」
こうした追加質問に対して、AIが事業所を説明するには、材料が必要です。
ホームページに「通所介護事業所です」「訪問看護ステーションです」「居宅介護支援を行っています」とだけ書かれていても、AIは深く説明できません。人間の読者にとっても同じです。
AIにおすすめされる事業所になるために必要なのは、AI向けの特殊な文章ではありません。
必要なのは、利用者家族やケアマネジャーが実際に聞きそうな問いに、自社の言葉で答えられる情報を蓄積しておくことです。
たとえば、デイサービスであれば、
認知症の方が落ち着いて過ごせるように、どんな環境づくりをしているのか。
入浴を嫌がる方に対して、どのように関係を作っているのか。
家族への連絡はどのように行っているのか。
見学時にどんなことを確認できるのか。
どんな利用者に向いている事業所なのか。
訪問看護であれば、
退院直後の利用相談にどう対応しているのか。
医療的ケアが必要な方への支援体制はどうなっているのか。
24時間対応の実際はどうか。
主治医やケアマネジャーとの連携はどう進めるのか。
家族が不安を感じやすい場面に、どのように関わるのか。
居宅介護支援であれば、
初めて介護保険を使う家族に、どのように説明しているのか。
本人がサービス利用を拒否している場合、どのように関係を作るのか。
遠方の家族からの相談に対応できるのか。
医療機関や地域包括支援センターとの連携はどうしているのか。
こうした情報がホームページに蓄積されていれば、AIはその事業所を理解しやすくなります。
そしてそれは、AIのためだけではありません。
利用者家族にも、ケアマネジャーにも、求職者にも伝わります。
AI検索対応とは、突き詰めれば、事業所の価値を説明できるだけの情報量を持つことです。
AISEOに取り組む前に確認したいこと
AISEOという言葉に不安を感じたら、まず自社のホームページを見直してみてください。
見るべきポイントは、AI向けの特殊な設定があるかどうかではありません。
利用者家族やケアマネジャーが会話の中で聞きそうなことに、ホームページが答えられているかどうかです。
| 確認したいこと | 見るポイント |
|---|---|
| サービス内容が具体的に書かれているか | 「訪問介護」「デイサービス」だけでなく、どんな支援に強いかが伝わるか |
| 対応地域が明確か | 市区町村名、送迎範囲、訪問範囲、相談可能エリアが具体的か |
| 相談されたい困りごとが書かれているか | 認知症、独居、退院直後、入浴拒否、家族介護の不安などに触れているか |
| 利用開始までの流れがあるか | 問い合わせ、見学、相談、契約、利用開始までの流れが分かるか |
| よくある質問があるか | 家族やケアマネジャーが事前に知りたいことに答えているか |
| 情報が更新されているか | 料金、加算、空き状況、採用情報、重要事項が古いままになっていないか |
| 事業所の考え方が伝わるか | 理念だけでなく、実際の支援場面で大切にしていることが書かれているか |
ここが整っていない状態で、AISEOだけを追加しても効果は限定的です。
たとえば、対応地域が曖昧なままでは、地域の検索にもAI検索にも伝わりにくい。
サービス内容が抽象的なままでは、どんな人に向いている事業所なのかが分からない。
FAQがなければ、家族やケアマネが事前に抱く不安に答えられない。
料金や加算の情報が古ければ、信頼性にも関わります。
ここで注意したいのは、AIを使って記事を大量に作ればよいという話でもない、ということです。
Googleは、生成AIで作成したコンテンツであっても、それ自体を理由に否定しているわけではありません。ただし、ユーザーに価値を加えない大量生成ページは、スパムポリシーに抵触する可能性があると説明しています。
これは介護事業所の情報発信にも当てはまります。
AIで記事を量産することが重要なのではありません。
自社の実情に基づいた、利用者家族やケアマネジャーの疑問に答える情報を、丁寧に蓄積することが重要です。
必要なのは、AIに向けた文章量産ではなく、事業所の実像が伝わる情報設計です。
AISEOではなく、AI時代の情報設計に取り組む
AISEOは不要なのか。
そう聞かれれば、答えは「不要」ではありません。
AI検索が広がる以上、介護事業所もAIにどう見られるかを意識する必要があります。検索行動が変われば、ホームページに求められる情報も変わります。
ただし、介護事業所が取り組むべきなのは、AIにだけ効く小手先の対策ではありません。
やるべきことは、もっと本質的です。
自分たちは、どの地域で、どんな利用者を支援しているのか。
どんな困りごとに応えられるのか。
どんな相談を早めにしてほしいのか。
ケアマネジャーや家族に、何を知っておいてほしいのか。
利用開始までに、どんな不安が生じやすいのか。
その不安に、事業所としてどう向き合っているのか。
これらを、ホームページ上で具体的に伝えることです。
AI検索時代に選ばれる介護事業所は、AI向けの裏技を入れた事業所ではありません。
利用者家族やケアマネジャーが会話の中で尋ねるであろう問いに、すでに自社の言葉で答えを用意している事業所です。

つまり、戦術的AISEOは存在しない。
しかし、戦略的AISEOはあります。
それは、AIにも人にも伝わるように、事業所の情報を整理し、蓄積し、更新していくことです。
AISEOという言葉に反応する前に、まず確認したいのは、自社のホームページが「会話に耐えられる情報量」を持っているかどうかです。
介護事業所のホームページは、単なる会社案内ではありません。
これからは、利用者家族、ケアマネジャー、求職者、そしてAIが、事業所を理解するための一次情報になります。
AIに選ばれるためではなく、必要としている人に正しく届くために。
AI検索時代のホームページは、事業所の価値を言語化し、蓄積していく場所として、これまで以上に重要になっていきます。

編集:
介護福祉ウェブ制作ウェルコネクト
編集部(主任介護支援専門員)
ケアマネジャーや地域包括支援センターなど相談業務に携わった経験や多職種連携スキルをもとに、介護福祉専門のウェブ制作ウェルコネクトを設立。情報発信と介護事業者に特化したウェブ制作サービスとAIを活用した業務改善提案を行う。



