採用できる介護事業所はここが違う。採用経路13年連続トップの採用手法は?

友人に紹介したくなる職場:リファラル採用

「求人を出しても応募が来ない」
「求人サイトを変えた方がいいのでは?」
「紹介会社を使わないと採用できない」

人材不足が続く介護業界では、採用に悩む事業所ほど、どうしても外に目が向きがちです。

求人媒体を変える。求人票を書き直す。給与条件を見直す。SNSを始める。

もちろん、どれも採用活動として必要な取り組みです。しかし、その前に一度見てほしい場所があります。

それは、今働いている職員です。

介護業界の採用データを見ると、その理由がよくわかります。

介護職の就職経路1位は「友人・知人からの紹介」

介護労働安定センターが公表した令和7年度「介護労働実態調査」によると、現在の法人に就職した主な経路・経緯で最も多かったのは、「友人・知人からの紹介」の33.8%でした。いわゆるリファラル採用です。

採用経路の一位は友人知人からの紹介

参照:介護労働安定センター「令和7年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」より

次いでハローワークが19.4%、求人情報サイトが9.6%となっています。

さらに、勤続1年未満の比較的新しく入職した人に限定しても、「友人・知人からの紹介」が29.3%で最多です。求人情報サイトは21.3%まで増えますが、それでも紹介が上回っています。

リファラル採用とは?

リファラルとは、「紹介・推薦」という意味。自社の社員から友人や知人を紹介してもらう採用手法。採用コストの削減やミスマッチ防止につながるため注目されています。

採用経路のトップ3

そして、これは最近だけの傾向ではありません。

過去の介護労働実態調査を確認すると、少なくとも平成25年度から令和7年度まで、13年連続で「友人・知人からの紹介」が最も多い就職経路となっています。

平成25年度も32.9%で、ハローワーク・人材銀行の23.6%を上回っていました。

つまり介護業界では、長年にわたって「人が人を連れてくる」という採用が大きな役割を果たしているのです。

採用対策は「まだいない人」だけを見なくていい

採用を考えるとき、多くの事業所は「求職者は何を求めているのだろう」と考えます。

給与でしょうか。休日でしょうか。福利厚生でしょうか。

もちろん求職者を知ることは重要です。ただ、まだ会ったこともない求職者のニーズを考えるのは、どうしても仮説になります。

それよりも身近なところに、もっとリアルな情報があります。

今、その職場で働いている人たちです。

「もっと働きやすくするには何が必要か」
「どんなところに負担を感じているか」
「この職場のいいところは何か」
「友人から転職の相談をされたとき、自分の職場を勧めたいと思うか」

こうした問いへの答えには、求人市場を想像するだけでは得られないリアリティがあります。

そして、今いる職員にとって働きやすい環境をつくることが、結果として新しい人を呼び込む力にもなります。

「働きやすさ」は定着だけの問題ではない

最新の介護労働実態調査でも、採用と定着がつながっていることが見えてきます。

事業所が行っている採用・定着・離職防止策では、「休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」が75.4%、「人間関係が良好な職場づくり」が74.2%と高い割合でした。

職場定着で効果があったもの

参照:介護労働安定センター「令和7年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」より

さらに、実施した事業所のうち「職場定着に効果があった」とする割合は、休暇を取得・変更しやすい職場づくりが57.9%、人間関係が良好な職場づくりが54.6%となっています。

求職者が入職先を選んだ理由を見ても、勤続1年未満では「職場の人間関係がよさそうだった」が41.7%、「自分のやりたい介護ができそうだった」が40.3%、「時間外労働が少ない」が30.5%でした。

採用と定着は、別々の問題ではありません。

働きやすいから辞めにくい。そして、働きやすいから人にも勧めやすい。

ここに採用の好循環があります。

採用の好循環とは

働きやすい職場とは

→ 人に勧めたくなる
→ 紹介から応募につながる
→ 職場を理解した人が入職する
→ 定着しやすくなる
→ 現場が安定する
→ さらに紹介しやすくなる

求人広告を増やし続けるだけでは、この循環は生まれません。

まず見直したいのは、職員が実際に感じていること

では何を見直せばいいのでしょうか。

大掛かりな制度改革から始める必要はありません。

たとえば、希望休は取りやすいか。急な休みに対応できるか。残業や記録業務に無駄はないか。困ったときに管理者へ相談できるか。職員同士の関係はどうか。新人を放置していないか。頑張りがきちんと評価されているか。

重要なのは、「一般的に働きやすい職場」を想像して施策を増やすことではなく、自分たちの職員が何に困り、何を改善してほしいと思っているのかを知ることです。

採用対策だからといって、最初から外を見る必要はありません。

ホームページは「働きやすさを証明する場所」に

そして、職場環境を改善したら、それを外から見えるようにする必要があります。

ここでホームページの役割が出てきます。

たとえば職員が友人から「転職しようかな」と相談され、「うちの職場、結構いいよ」と紹介したとします。

紹介された人は、その言葉だけで応募するとは限りません。事業所名を検索し、ホームページや採用ページを確認するでしょう。

そのとき、募集要項しか載っていなかったらどうでしょうか。

逆に、実際に働いている職員の声、1日の仕事、休暇の取りやすさ、研修体制、職場の写真、管理者の考え方などが掲載されていれば、

「聞いていた話と、本当に同じような職場なんだ」

と確認できます。

つまり採用ホームページは、ゼロから人を集めるだけの広告媒体ではありません。

今いる職員が伝えた「この職場は働きやすい」という言葉を、外側から裏付ける場所でもあるのです。

職員が誰かに「詳しくはここを見て」と送りやすい採用ページになっているか。

これも、リファラルが強い介護業界だからこそ大切な視点です。

リファラル制度を作れば解決、ではない

ここで間違えてはいけないのが、「では紹介制度を作って、紹介した職員に報奨金を出そう」という話だけで終わらせないことです。

報奨制度自体が悪いわけではありません。

ただ、職員自身が人に勧めたいと思えない職場で、紹介制度だけを作っても限界があります。

目指したいのは、無理に紹介件数を増やすことではありません。

「この職場なら友人にも紹介できる」と自然に思ってもらえる職場をつくること。

その結果としてリファラルが生まれる状態です。

採用できる職場は、まず「うち」を見ている

介護人材を採用するために、求人媒体や紹介会社、SNSなど外部への発信はこれからも必要です。

しかし、外にいる人を集めることばかりに目を向けて、今働いている人が疲弊していたら、採用はいつまでも苦しいままです。

介護職の就職経路では、長年「友人・知人からの紹介」がトップを続けています。

だからこそ、採用できる職場を目指すなら、まず外を見る前に「うち」を見る。

そして最後に、職員へ一度こう聞いてみてください。

「あなたは、この職場を大切な友人に勧めたいと思いますか?」

その答えの中に、求人広告を変えるより先に取り組むべき、本当の採用対策が隠れているかもしれません。

介護福祉のウェブ制作ウェルコネクト

編集:
介護福祉ウェブ制作ウェルコネクト
編集部(主任介護支援専門員)

ケアマネジャーや地域包括支援センターなど相談業務に携わった経験や多職種連携スキルをもとに、介護福祉専門のウェブ制作ウェルコネクトを設立。情報発信と介護事業者に特化したウェブ制作サービスとAIを活用した業務改善提案を行う。

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