介護のSNS採用、その理想と現実。SNSが主な就職経路だった人はわずか0.2%!

介護事業者

採用で困っているならSNSをやったほうがいい!

介護業界でも、そんな話を聞くことが増えました。

Instagramを開設し、職員に写真を撮ってもらう。施設の日常や行事を投稿し、ときにはリール動画も作る。

それでも、なかなか応募にはつながらない。

「更新頻度が足りないのか」「TikTokも始めるべきなのか」と悩んでいる経営者や採用担当者もいるのではないでしょうか。

では、実際にSNSは介護人材の採用につながっているのでしょうか。

公益財団法人介護労働安定センターが公表した令和7年度「介護労働実態調査」では、現在の法人に就職した主な経路・経緯として「法人又は施設・事業所が発信するSNS」を挙げた介護労働者は、わずか0.2%でした。

介護業界、SNSで本当に採用ができているのか?

※参照:介護労働安定センター「令和7年度介護労働実態調査」より

勤続1年未満、つまり比較的最近入職した人に限定しても0.4%です。全体では「友人・知人からの紹介」33.8%、「ハローワーク」19.4%、「求人情報サイト」9.6%。勤続1年未満では求人情報サイトが21.3%まで上がっています。

※参照:介護労働安定センター「令和7年度介護労働実態調査」より

SNS採用が注目されていると言われながらも、0.2%という数字はかなり小さく見えます。

しかし、この数字は「SNSは意味がない」という話なのでしょうか。

SNS採用は増えている。でも「認知から採用」の導線はまだ細い

まず押さえておきたいのは、介護事業所によるSNS活用そのものは増えていることです。

採用活動として「SNSを活用して自事業所のアピールポイントを発信」している事業所は、令和5年度が11.5%、令和6年度が14.8%、令和7年度が16.3%でした。令和5年度は設問表現が若干異なるため厳密な時系列比較には注意が必要ですが、SNSを採用に活用する事業所が広がっている傾向は読み取れます。

SNSを活用する事業所は増えている

つまり、

SNS採用に取り組む事業所は増えている。
それでも、SNSを主な経路として入職した人は0.2%。

ここに、介護業界のSNS採用の「理想と現実」があります。

SNS採用の大きな魅力は、本来「認知」にあります。

求人情報サイトやハローワークは、基本的にすでに仕事を探している人との接点です。

一方SNSなら、まだ具体的に転職活動をしていない人にも、

「こんな事業所があるんだ」

「この職場、ちょっと雰囲気がよさそう」

と知ってもらえる可能性があります。

実際、「介護の仕事で働こうと思ったきっかけ」として「SNS、WEB・ネット等の影響」を挙げた人は全体では2.2%ですが、介護の仕事の経験年数3年未満では6.3%でした。少なくとも比較的新しい介護人材では、WEBやSNSとの接点が一定の役割を持っていることがうかがえます。

理想を描けば、

SNSで認知
→ 興味を持つ
→ 事業所を調べる
→ 魅力を理解する
→ 応募する

という流れです。

ところが、「SNSが主な就職経路」0.2%という数字を見る限り、少なくともSNSを起点に認知から入職までつなげる導線は、まだ非常に細いと考えたほうがよさそうです。

「SNSをやっている」と「SNSで届いている」は違う

ここは、介護事業所のSNS採用で特に注意したいところです。

Instagramのアカウントを作ること自体は難しくありません。

そのため実務では、

「若い職員にInstagramを任せる」

「行事があったら投稿する」

「施設の日常を定期的に載せる」

といった運用になりがちです。

もちろん、利用者家族や地域への情報発信が目的なら、それでも意味があります。

しかし、採用目的なら話は別です。

誰を採用したいのか。

その人はどんな情報に興味を持つのか。

何を見せればスクロールする手を止めてもらえるのか。

写真なのか、ショート動画なのか。

どんなテーマを継続して発信するのか。

プロフィールを見た人を、その後どこへ誘導するのか。

さらに、各SNSには投稿を表示する仕組みがあります。アルゴリズムやコンテンツの特性をほとんど意識せず、ただ投稿を続ければ、自法人を知らない求職者へ自然に届くわけではありません。

ターゲット理解・アルゴリズムの理解・撮影スキル・編集スキル・分析・改善、これらをすべて自社リソースだけでまわしていける事業所なんて、おそらく数えるほどしかないでしょう。

「投稿している」と「届いている」は違います。

ここを区別しないまま、「SNS採用をやっています」と考えてしまうと、投稿数だけが増え、担当する職員の負担も大きくなります。

SNSは無料で始められます。

しかし、写真撮影、動画編集、企画、原稿作成、投稿管理には職員の時間が使われます。

誰でも始められる。でも、誰でも結果を出せるわけではない。

多くの代行業者がありますが、代行業者に依頼したからといって、業界特有のニーズや介護業界のターゲットの複雑性を理解できていない業者では結果も出ないですし、無理をすれば炎上リスクも伴います。

これは自分自身もYoutube・インスタなどを運用することで感じましたが、
業界理解とトレンドを把握したディレクション・運用を回せる人材・コンテンツ制作環境・周囲の協力や正しい職場評価。どれが欠けても成功は難しい。

※よろしければ私のインスタグラムアカウントなどものぞいていってくれるとうれしいです・・・。

これがSNS採用の現実です。

それでもSNSに効果を感じる事業所は増えている

ここまで見ると、「それならSNSをやる意味はないのでは」と思うかもしれません。

ところが、同じ調査には興味深いデータがあります。

令和6年度、SNSを採用活動に活用していた事業所は14.8%。そのうち「採用に効果があった」と回答した割合は16.8%でした。

令和7年度になると、SNS活用事業所は16.3%に増え、そのうち27.6%が「採用に効果があった」と回答しています。全事業所を母数にすると4.5%です。

つまり、

SNSが主な就職経路だった人は0.2%。

一方で、

SNSを活用している事業所の27.6%は採用効果を感じている。

この二つの数字が同時に存在します。

SNSに効果を実感する事業所も増えている

ここから考えられるのは、SNSの採用効果が「SNSを見て、そのままSNSから応募する」という形だけではないということです。

例えば、

求人情報サイトで求人を発見
→ 法人名を検索
→ ホームページを確認
→ Instagramで職場の雰囲気を見る
→ 求人情報サイトから応募

という行動です。

この場合、本人に「主な就職経路」を聞けば「求人情報サイト」と答えるでしょう。

しかし、SNSで職員の表情や職場の雰囲気を確認したことが、応募判断に影響している可能性はあります。

もちろん、介護労働実態調査は個々の求職者が応募までに接触したすべての媒体を追跡した調査ではありません。そのため、これは0.2%と27.6%の差から考えられる一つの仮説です。

ただ、少なくともSNSの価値を「SNSから直接何人応募したか」だけで判断するのは早いでしょう。

SNSだけで採用しようとしない。マルチチャネルで考える

令和7年度調査で勤続1年未満の人の主な就職経路を見ると、「友人・知人からの紹介」29.3%、「求人情報サイト」21.3%、「ハローワーク」19.9%に対し、ホームページは3.5%、SNSは0.4%です。

この数字からも、現在の介護採用は一つのWEB媒体だけで完結するものではありません。

それぞれに役割があります。

求人情報サイト・ハローワークでは、仕事を探している人と接点を持つ。

SNSでは、新しい認知を狙うとともに、求人票では見えにくい職員や職場の雰囲気を伝える。

そして求職者が「この事業所についてもっと知りたい」と思ったときに必要になるのが、ホームページです。

ホームページは採用情報の拠点

ホームページなら、仕事内容、給与・待遇、福利厚生、教育体制、職員紹介、法人理念、勤務地、現在の募集職種、応募方法などを整理して伝えることができます。

令和7年度調査では、ホームページで自事業所のアピールポイントを求職者へ発信している事業所は36.8%。そのうち24.4%が「採用に効果があった」と回答しています。全事業所を母数にすると9.0%で、SNSの4.5%を上回ります。

これは「ホームページから9%が採用された」という意味ではありません。あくまで事業所側が「採用に効果があった」と回答した割合です。

ただ、SNSと同じように、ホームページも直接応募だけでは測れない役割を持っています。

求人媒体で知った人も。

SNSで知った人も。

Googleで法人名を検索した人も。

その事業所について詳しく確認できる。

だからホームページを、採用情報の拠点として整えておくことが重要です。

SNS採用がうまくいかないなら、投稿を増やす前に「導線」を見直す

Instagramを半年、1年と続けている。

でも、応募にはつながらない。

そんなとき、「もっと投稿しなければ」と考える前に、一度確認してみてください。

SNSは誰に向けて発信しているでしょうか。

その人に届くための運用になっているでしょうか。

そして、SNSを見て興味を持った人を、次にどこへ誘導しているでしょうか。

  • Instagramは頻繁に更新されているのに、ホームページの採用情報は数年前のまま。
  • 採用ページには募集要項しかない。
  • 現在募集中の職種が分からない。
  • スマートフォンで見にくい。

これでは、SNSでせっかく作った接点を応募までつなげられません。

SNS採用には可能性があります。

実際、採用に効果を感じている事業所は増えています。

ただし、SNSだけで採用を完結させようとしないことです。

求人媒体で出会い、SNSで魅力を伝え、ホームページで理解を深め、応募につなげる。

採用を「どの媒体を使うか」ではなく、複数のチャネルをどうつなぐかで考える。

介護人材の採用が難しくなっている今、その視点はこれまで以上に重要になっています。

介護事業所の採用WEB導線を見直しませんか

ウェルコネクトでは、介護事業所に特化したホームページ・採用ページ制作を行っています。

単にサイトをきれいにするのではなく、求人媒体やSNSから訪れた求職者に何を伝え、どのように応募までつなげるのか。介護業界の採用事情を踏まえて、WEB上の採用導線を整理します。

「SNSを更新しているのに採用につながらない」

「求人広告費をかけても応募が増えない」

「採用ページが募集要項だけになっている」

そんな事業所は、新しいSNSを増やす前に、現在の採用活動がきちんとつながっているかを一度確認してみてください。

SNSをやることが目的ではありません。ホームページを作ることも目的ではありません。

求職者に自法人を知ってもらい、魅力を理解してもらい、応募につながる仕組みをつくること。

そのための採用情報の拠点として、ホームページを整えていきましょう。

介護福祉のウェブ制作ウェルコネクト

編集:
介護福祉ウェブ制作ウェルコネクト
編集部(主任介護支援専門員)

ケアマネジャーや地域包括支援センターなど相談業務に携わった経験や多職種連携スキルをもとに、介護福祉専門のウェブ制作ウェルコネクトを設立。情報発信と介護事業者に特化したウェブ制作サービスとAIを活用した業務改善提案を行う。

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