ケアマネによるiPad活用。介護ソフト連携、オンライン会議で介護はどう変わったか

iPadを活用するケアマネ

※この記事は2010年に執筆したものを、2025年に一部加筆修正を加えております。2010年に想像した未来の答え合わせ

1. はじめに:iPadと高齢者・ケアマネジメント

2010年、iPadが発売された当初から、「高齢者にも使いやすい」という話題があちこちで聞かれました。
画面を指でなぞるだけで操作できる──それだけで、マウスやキーボードに慣れない世代にも親しみやすいと注目を集めたのです。

では、この“直感的なタブレット”が、介護の現場ではどう生かされるのでしょうか。
少し未来を想像して、「iPadを使いこなすケアマネージャー」の姿を描いてみます。


2. 未来のケアマネ像:iPadを手にした“スマートケアマネ”

今日はサービス担当者会議の日。
ケアマネは渾身のケアプランを手に、利用者と家族、そして各サービス事業者の前に座ります。
その手には──紙のファイルではなく、ピカピカのiPad。

画面をなめらかにスクロールしながら、ズーム機能で細かい文字も拡大。
「字が小さくて読めない」と言われていた計画書も、今日はみんなが画面を覗き込みながら理解してくれる。
説明が進み、納得のサインも……と思ったところで、「あ、印鑑が押せないか」と少し苦笑い。

それでも、誰もが感じる。
この姿、ちょっと格好いい。紙に埋もれず、情報を自在に操るケアマネ。未来の仕事って、こういう形かもしれない。


3. “未来”のケアマネがiPadを使う場面いろいろ

会議が終わるころ、家族から質問が。
「福祉用具のマットレスを変えたいんですが、どんな種類があるんでしょう?」

そこでまたiPadの出番。
あらかじめスキャンして保存しておいた複数業者のカタログを開き、比較しながら説明。紙をめくるよりずっと早く、見やすい。

次は食事の話。
「最近、配食サービスの味がちょっとねぇ…」と利用者がぼやく。
するとケアマネは再びiPadを手に取り、民間配食業者のパンフレットデータや弁当写真を見せながら提案。

さらに、「この前の受診で言われた検査の数値って何だったの?」という質問にも、ネット検索で即答。
医療情報が苦手でも、必要な知識をその場で引き出せるのがiPadの強み。

最後に、「腰痛が悪化してね」と利用者がこぼすと、
ケアマネはiPadで“腰痛体操”の動画を一緒に視聴。
画面越しに体を動かしながら、「これならできそう」と利用者も笑顔に。

会議を終えて颯爽と立ち去るケアマネ。
その手には、今日もiPad。
なんだか、少し未来が見えた気がする。


そして時は移り、2025年。

4. いま、ケアマネがiPadと介護ソフトでできることはこんなに増えた

2010年の頃、iPadを片手に会議に臨むケアマネの姿は“未来の話”だった。
いまではその未来が、日常になっている。
鍵を握ったのは、介護ソフトの進化だ。
ただの「記録の道具」ではなく、ケアマネの思考と判断を支える“仕事のパートナー”になった。


■ ケアプラン作成も現場で完結

クラウド型の介護ソフトとiPadを組み合わせれば、
訪問先やサービス担当者会議の場で、プランの修正や確認がそのままできる。
変更履歴や加算要件も自動で反映され、転記ミスや後作業の手間が激減。
「事務所に戻って入力」が、「その場で確定」に変わった。


■ 利用者説明が“見える化”される

介護ソフトの画面には、図表やグラフで視覚的に情報を提示できる仕組みが増えた。
iPadの拡大表示を使えば、高齢者でも内容が見やすく、
タッチペンで電子署名を行うこともできる。
これにより、同意書の手続きがシンプルになり、家族説明もスムーズ。
“紙では伝わりにくいこと”を“画面で伝える”時代になった。


■ 福祉用具・サービス選定をデータで支援

多くの介護ソフトでは、福祉用具やサービス提供事業所のデータベースが連携しており、
条件検索や比較がタブレット上で完結する。
画像・カタログPDFを紐づけて利用者と一緒に検討できるので、
「どんな違いがあるの?」という質問にも、即座に見せて答えられる。
提案力そのものが変わった。


■ 記録・LIFE連携・チーム共有がリアルタイムに

記録アプリを介して入力した内容は、介護ソフトに即時反映。
LIFE(科学的介護情報システム)や電子カルテと自動連携できる仕組みも一般化した。
多職種連携のチーム全員が、同じ情報をほぼ同時に確認できる。
iPadが“現場の目”として、情報の遅れを埋めている。


■ リモート会議・ICT支援の中心に

コロナ禍を経て、オンライン面談やリモート会議が定着した。
いまでは介護ソフトがZoomなどのツールと連携し、
会議資料やケアプランを共有しながら話し合える。
場所を問わず“サービス担当者会議”が開けるようになり、
地域支援のハードルが下がった。

5. おわりに:あの予感は、想像よりも早く現実になった

2010年に「iPadを持つケアマネ」を想像していた頃、
それは少し未来的で、半分は冗談のような話だった。
けれど15年経った今、その予感は思っていた以上のスピードで現実になっている。
介護ソフトとiPadは、もう特別な道具じゃない。
ケアマネの仕事そのものを形づくる“当たり前の環境”になった。

一方で、仕事の中身も少しずつ変わり始めている。
紙を整理していた時間は、いまやデータの整理と判断の時間に。
訪問での説明は、画面越しの対話に。
求められるスキルも、視点も、確実に進化している。

だからこそ──
いつまでも同じ内容の更新研修を受けて、
「時代が変わった」と口だけで言っている場合じゃない。
ケアマネ自身が“次のモデル”にアップデートする時期に来ている。
iPadをきっかけに始まった変化の波は、
もう現場の外側ではなく、ケアマネの手の中にある。

介護福祉のウェブ制作ウェルコネクト

編集:
介護福祉ウェブ制作ウェルコネクト編集部(主任介護支援専門員)

ケアマネジャーや地域包括支援センターなど相談業務に携わった経験や多職種連携スキルをもとに、介護福祉専門のウェブ制作ウェルコネクトを設立。情報発信と介護事業者に特化したウェブ制作サービスとAIを活用した業務改善提案を行う。

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