介護の不安を信頼に。マーケティングモデル「AISCEAS(アイセアス)」を徹底解説

「良いサービスを提供していれば、自然と利用者は集まる」——。 かつてはそう言われた介護業界も、今や大きな転換期を迎えています。ケアマネジャーへの営業といった「プッシュ型」の集客だけでなく、利用者家族が自らネットで検索し、納得して選ぶ「プル型」の意思決定が主流になっています。

今回は、マーケティングの古典的モデル「AIDMA(アイドマ)」と、現代のネット社会に即した「AISCEAS(アイセアス)」を比較しながら、これからの介護経営に欠かせない「選ばれるための戦略」を紐解きます。

※この記事は2014年に書かれた記事をリライトしたものになります。


1. 従来の基本モデル「AIDMA(アイドマ)」とは?

AIDMAは、インターネットが普及する以前、テレビCMや新聞折込チラシが情報の主役だった時代の購買心理プロセスです。

  • Attention(注意):看板やチラシで事業所を「知る」。
  • Interest(興味・関心):「どんな施設だろう?」と興味を持つ。
  • Desire(欲求):「ここなら良さそうだ」と欲求が生まれる。
  • Memory(記憶): すぐに必要でなくても、いざという時のために名前を「記憶」する。
  • Action(行動):必要に迫られた際、記憶を頼りに問い合わせ・見学をする。

AIDMA時代の特徴

かつては情報源が限られていたため、地域で目立ち、チラシを配り、いかに名前を覚えてもらうか(Memory)が勝負でした。一度「あそこは良いらしい」と記憶されれば、他に比較する手段が少なかったため、そのまま選ばれる確率が高かったのです。


2. 現代のスタンダード「AISCEAS(アイセアス)」への転換

アイドマとアイセアスの比較図

しかし、スマホが普及した現代では、わざわざ必死に記憶しなくても、必要になった瞬間にその場で検索できます。そこで重要になるのが、AIDMAを進化させた「AISCEAS(アイセアス)」です。

  1. Attention(注意):SNS、ネット広告、地域の評判で知る。
  2. Interest(関心):理念や雰囲気に興味を持つ。
  3. Search(検索)【現代の核】 公式HP、マップ、口コミで詳しく調べる。
  4. Comparison(比較):近隣の他事業所とサービスや設備を比べる。
  5. Examination(検討):自分たちの状況に合うか、資料や情報を深く読み込む。
  6. Action(行動):問い合わせ・見学・契約。
  7. Share(共有):利用後の感想をSNSや口コミで広める。

現代の家族は、チラシや紹介で事業所を知ったあと、必ずといっていいほど「スマホで裏取り(再検索)」をします。
悪い噂はないか、本当に信頼できるのか、スタッフはどんな人たちか・・・

ケアマネの紹介や、ホームページを探す、だけではなく、SNSでの書き込み・グーグルマップでの口コミ情報・サービス事業所の比較サイト・AIによる検索。
いまは比較検討するために様々なアプローチがあるのです。

しかし、ここで「検索・比較・検討」の土俵に乗れない事業所は、検討候補から外されてしまうのです。


3. 介護業界特有の「比較検討」に見る特殊な家族心理

介護サービスの比較検討は、家電や日用品選びとは決定的に異なります。そこには、家族特有の「3つの心理的負荷」が存在するからです。

① 「やり直しが効かない」という恐怖心

介護は生活の基盤そのものです。特に施設入居の場合、一度環境を変えることは高齢者本人にとって大きな負担になります。この負担は家庭生活の根幹を揺るがす深刻なものになりかねません。「もし合わなかったら…」「もし望んでいたサービスじゃなかったら…」という不安が強いため、家族は「失敗しないための確かな根拠」を重視します。

② 「罪悪感」を払拭したい切実な願い

「自分たちで看られないからプロに頼む」という決断に、少なからず罪悪感を抱える家族は多いものです。彼らは、HPでスタッフの笑顔や活気ある様子を確認することで、「ここに預けることは、本人にとっても幸せな選択なんだ」という納得感を求めています。
少し尖った言い方をすると、これは正しい選択だ・本当は本人にとってその方が幸せだ・この選択は間違っていないと自分に言い聞かせるある種の「免罪符」という意味合いもあるかもしれません。なので、逆を言えば、そのサービス品質や強みを主張できなければ、選択した家族を苦しめることになるのかもしれないのです。

③ 「情報の非対称性」への不信感

サービスの中身が外から見えにくい介護だからこそ、情報の透明性がそのまま「信頼」に直結します。更新が数年前で止まっているサイトや、フリー素材ばかりのページは、家族の目に「不誠実」「活気がない」と映り、信頼を損なう原因になります。


4. 結論:ホームページは「24時間働く最強の相談員」

AISCEASのプロセスにおいて、ホームページは単なる会社案内ではありません。家族が夜中、一人でスマホを握りしめ、「どうしよう」と悩んでいるときに寄り添い、安心を与える24時間体制の相談員です。

家族の不安要素ホームページが提供すべき「信頼」
失敗したくないサービス詳細、具体的なケア事例、入居までの流れを可視化する
安心したい理念だけでなく、スタッフの顔、教育体制、想いを言葉で伝える
今の様子を知りたいブログやニュースによる「現場の日常」の定期的な発信
客観的な評価は?実際のご利用者様・ご家族の「生の声」の掲載

「ここなら、私たちの代わりに、この人を大切にしてくれる」という確信。これを与えることができるのは、あなたの事業所の「想い」が血の通った言葉と写真で綴られた、質の高いホームページだけなのです。


未来の利用者と出会うために

「今はまだケアマネからの紹介で回っているから大丈夫」と思っていても、その紹介された家族は、今この瞬間もあなたの事業所をネットで検索し、他と比較しているかもしれません。

介護福祉ウェブ制作ウェルコネクトでは、介護現場を熟知した専門家が、家族の不安に寄り添い、信頼を勝ち取るためのWeb制作・コンサルティングを行っています。地域に根ざしたあなたの事業所の魅力を、正しく、深く届けるための一歩を、一緒に踏み出しませんか?


まとめ:この記事のポイント

  • 時代の変化:記憶(AIDMA)の時代から、検索・比較・共有(AISCEAS)の時代へ。
  • 家族の心理:介護選びは「スペック比較」ではなく「不安の解消」である。
  • HPの役割:ネット上の「24時間相談員」として、信頼の根拠を提示する。
介護福祉のウェブ制作ウェルコネクト

編集:
介護福祉ウェブ制作ウェルコネクト編集部(主任介護支援専門員)

ケアマネジャーや地域包括支援センターなど相談業務に携わった経験や多職種連携スキルをもとに、介護福祉専門のウェブ制作ウェルコネクトを設立。情報発信と介護事業者に特化したウェブ制作サービスとAIを活用した業務改善提案を行う。

介護の不安を信頼に。マーケティングモデル「AISCEAS(アイセアス)」を徹底解説” への1件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

four × 3 =