「個人情報の保護」と「開かれたホームページ」

事務局のつれづれ日記(サンライフ彦坂)にこんな記事を紹介していました。

「開かれた学校」HPが落とし穴 ネット殺害予告

 インターネットの掲示板に仙台市の小学4年女児の殺害を予告する書き込みをしたとして、脅迫容疑で仙台南署に逮捕された専門学校生丑田(うしだ)祐輔容疑者(23)=東京都江東区白河4丁目=は、女児の学校のホームページ(HP)に女児の氏名が掲載されているのを見つけ、標的にした。防犯上、HPから児童、生徒の氏名や写真を削除する学校が増えている中、今回の事件で、HPの匿名化を強化したいという学校関係者は少なくなく、学校の主役の子どもが学校のHPから姿を消す懸念も強まっている。
 女児の学校は、HPに児童名を載せる場合は通常、イニシャルにとどめているが、今回は「チェックミス」(校長)で実名を掲載した。学校は落ち度を認め、女児に謝罪する意向を示している。
 HPは書き込みのあった9月16日に閉鎖され、校長は「情報を発信して開かれた学校にしたかったが、閉じざるを得なかった」と話している。
 学校HPは学校活動の広告塔で、いわば「開かれた学校」の象徴。市教委も「善行をした児童、生徒の名前を載せることなどは本来、教育的に好ましい」(教育センター)と考えている。
 しかし、HPは不特定多数が閲覧でき、HPに名前や写真の載った子どもが犯罪者に狙われる被害が後を絶たない。「学校は子どもを危害に遭わせないことが最優先。こういう事件が続けば、必然的にHPの匿名化は進む」(小学校教諭)という。
(中略)
 HPの匿名化の進行は学校の過度な抑制を生み、市内の小学校のHPでは、児童の顔が判別できないように目の部分をモザイク処理したり、後ろ姿を撮影したりする写真が目立つ。
 学校関係者は「ゾッとする異様な感じで、子どもたちのはつらつとした学校生活を伝えるHPの本来の姿が失われた」と指摘。市教委幹部は「個人情報の取り扱いについては、どこの学校も苦慮している」と明かす。

以前、全日本小学校ホームページコンテストについての情報を書きましたが、
小学校におけるホームページは近年、
自分たちでコンテンツをつくることを大きなテーマに作成されています。
教職員、児童が協力してコンテンツを作成し、公開する。
自分たちの力で何かを作り、
自分たちの勉強の成果を発表し、
社会とコミュニケーションをする。
教育の一環として、学校のホームページは大きな効果を生んでいるように思えます。
しかし、大きな落とし穴。
ブログなどCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の発展や、
ホームページ作成ソフトの機能性・操作性の向上によって、
比較的簡単に、
HTMLなどの知識がほとんどない段階でも、
ホームページのコンテンツ作成・管理ができるようになりました。
いままで、ウェブのプロでしかできなかったものが、
誰にでもできるように変わってきたのです。
しかし、その反面、
ホームページの担当者(この場合、教職員)に
セキュリティや個人情報に対する危機意識などについての理解が
十分に備わっていない環境にあるホームページも多いということです。
今回の事件も、そういった脆弱性を突かれたものといえます。
言い換えれば、今回の事件は、
ホームページが開かれていることが問題なのではなく、
個人情報への配慮が欠けていたことが問題であって、
そのふたつの問題は別の問題であるということです。
それを正しく理解できず、混同させてしまうことによって、
ホームページが「閉ざされていく」のです。
これは、小学校だけでの問題ではありません。
企業、団体、行政機関など、個人情報への十分な配慮が
ホームページ担当者には求められます。
そして、もちろん介護施設にも、です。

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