スマホ・タブレットがケアマネの仕事を変えた ─ 10年前のデータから見る進化

スマートフォン、アプリの活用

※この記事は2015年の記事を2025年に一部加筆・修正したものです。

2015年。
スマートフォンが一般家庭に広がり、タブレット端末も身近になりはじめた頃。
介護現場でも「デジタルをどう使うか」という問いが少しずつ語られ始めていた。
とはいえ、ケアマネジャーにとってスマホやタブレットはまだ“未知のツール”。
紙の書類と電話が主流だった時代、現場のデジタル化はようやく第一歩を踏み出したばかりだった。

その現状を映し出したのが、株式会社インターネットインフィニティー(ケアマネジメント・オンライン運営)による
「ケアマネジャーのデジタルデバイス活用に関する調査」である。

スマホ・タブレットを業務で使うケアマネはわずか3割

調査結果によれば、当時ケアマネが業務で最も使っていたのは「パソコン」(98.2%)。
次に「従来型携帯電話(ガラケー)」が29.6%と続き、
「スマートフォン」は19.6%、「タブレット端末」は11.7%にとどまった。

「ケアマネジャーのデジタルデバイス活用に関する調査」結果を発表

スマートフォンやタブレット端末を業務で使用するケアマネジャーは約3割!

インターネット検索やアプリの活用など、その手軽さと利便性の高さから、スマートフォンやタブレット端末を業務に活用するケアマネジャーは増えつつあるようです。
介護関連メディア事業を手掛ける株式会社インターネットインフィニティー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:別宮 圭一)は、運営するウェブサイト「ケアマネジメント・オンライン」において、会員のケアマネジャーが実際にどのようなデジタルデバイスを活用しているのか、調査を行いました。

スマートフォンやタブレット端末を業務で利用しているケアマネジャーは約3割
業務で使用している情報端末についてたずねたところ(複数回答)、最も多かったのが「パソコン」の604名(98.2%)で、次いで「従来の携帯電話」が182名(29.6%)でした。
「スマートフォン」あるいは「タブレット端末」と答えた人は、それぞれ120名(19.6%)、72名(11.7%)でした。

スマートフォンやタブレット端末を利用している人のうち、業務でアプリを活用している人は約4割
スマートフォンやタブレット端末を使用しているケアマネジャー164名のうち、何らかのアプリをダウンロードしたことがある人は147名でした。
そのうち、アプリをケアマネジャー業務に活用している人は70名で、スマートフォンやタブレット端末使用者の42.6%が業務に関わるアプリをダウンロードして活用していることがわかりました。

ケアマネジャーが最も必要としているのは「病気や薬を調べられるアプリ」
業務で使用しているアプリで最も多かったのは「病気や薬を調べられるアプリ」で、アプリ利用者の約6割にのぼりました。
また、回答者全員に行った「業務に関連したアプリで使ってみたいものは何か」という質問でも、最も多かったのが「病気や薬を調べられるアプリ」(423名、68.8%)でした。
「病気や薬を調べられるアプリ」は、ケアマネジャーが最も必要としているアプリといえそうです。

この数字もこれから大きく伸びていきそうですね。

つまり、スマホやタブレットを業務で活用していたケアマネは全体の3割に満たなかった
今となっては信じられない数字だが、当時の現場では「入力しづらい」「セキュリティが心配」などの声が多く、
“持っていても業務には使わない”という人が大半だった。

それでも、検索やアプリの便利さを感じ取り始めた人たちは少しずつ増え、
ケアマネの働き方の地盤が静かに動き出していた時期でもある。


アプリを業務に生かせたケアマネは4割程度

スマホやタブレットを使用していたケアマネ164名のうち、
何らかのアプリをダウンロードしたことがある人は147名。
その中で、実際に業務に活用できていたのは70名──42.6%に過ぎなかった。

利用目的として最も多かったのは「病気や薬を調べられるアプリ」。
医療知識に自信がないケアマネでも、手元で調べて確認できる安心感が支持された。
同時に、紙の早見表やカタログを抱えて外出するスタイルから、
“画面で必要情報を引き出す”スタイルへの移行が始まりつつあった。


デジタル化の遅れと、その中に見えた兆し

数字だけ見れば、スマホ・タブレット活用はまだ限定的。
しかし、そこに潜んでいたのは「使えない」ではなく「まだ使いこなせていない」という現実だった。

福祉用具カタログ、単位数早見表、介護報酬の加算条件──
アプリ化すれば便利な情報ほど、当時は紙の束として持ち歩いていた。
その不便を実感していたケアマネたちが、
次第にデジタルへの関心を高めていくことになる。


そして2025年。スマホとタブレットはケアマネの標準装備に

あれから10年。
スマホやタブレットは、ケアマネの業務ツールとして完全に定着した。
介護ソフトはクラウド化が進み、iPadからケアプランの作成・修正・共有が可能に。
オンライン会議や電子署名、訪問記録の入力まで、
ほとんどのケアマネ業務がモバイル環境で完結できるようになった。

「パソコンを開く時間が減り、利用者と話す時間が増えた」
そんな声も現場から聞こえてくる。
2015年の“3割”という数字は、
いまや「ケアマネの全員がデジタルを使いこなす時代」への起点になった。

そして、今はChatGPTやGeminiなどのAIを誰でも身近に活用できる時代。
薬の名前を調べるアプリを開いて、検索して、という作業ではなく、スマートフォンに薬の名前や疾患名などを伝えるだけで、正確な情報を、注意点なども要点を絞って提供されるようになった時代。

この10年。大きな変化を迎えているのです。


おわりに:あの頃の“予感”は、想像より早く現実に

2015年に語られていた“デジタル化の予感”は、
想像を超えるスピードで実現した。
テクノロジーはもう、外から押し寄せる波ではない。
ケアマネ自身の手の中で、日常の一部として息づいている。

いま必要なのは、
スマホやタブレットを「使えるようになる」ことではなく、
それをどう“支援の質につなげるか”を考える力だ。
そして──
いつまでも同じ更新研修を受けて安心している場合ではない。
時代が変わったなら、ケアマネのあり方も変わらなければならない。
モデルチェンジの時期は、もう来ている。

介護福祉のウェブ制作ウェルコネクト

編集:
介護福祉ウェブ制作ウェルコネクト編集部(主任介護支援専門員)

ケアマネジャーや地域包括支援センターなど相談業務に携わった経験や多職種連携スキルをもとに、介護福祉専門のウェブ制作ウェルコネクトを設立。情報発信と介護事業者に特化したウェブ制作サービスとAIを活用した業務改善提案を行う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

fifteen − seven =