常時SSL化はSEOに有効か?介護事業所のホームページに求められるセキュリティ意識

常時SSL化はSEOに有効か?

この記事は2018年に掲載したものを2025年に一部加筆・修正を加えたものです。

1. SSL/HTTPS化はなぜ必要か

近年、Googleは「安全なウェブ」を重視する姿勢を明確にしています。
HTTP通信は、サイトと利用者の間でデータを平文でやり取りする仕組みですが、これは他人から見てもその内容は筒抜けで、情報が漏洩してしまうリスクをはらんでいます。

この保護されていない通信に、SSL(Secure Sockets Layer)/TLS(Transport Layer Security)を導入することで、通信内容が暗号化され、第三者による盗聴や改ざんを防ぐことができます。

たとえば、介護施設のホームページには「お問い合わせフォーム」「見学予約」「求人応募」など、個人情報を扱うページが多く存在します。
SSLによる暗号化は、こうしたデータを安全に送信するための必須技術です。

Googleは2014年に「HTTPSをランキングシグナルとして考慮する」(グーグル検索の順位決定の要素とする)と公式に発表しており、
現在ではブラウザ上でもSSL化されていないサイト(HTTPサイト)には「保護されていません」と警告が表示されるようになっています。
これは単なる“技術的な設定”に留まらず、利用者の信頼性を損なわないための最低限の基盤と言えます。

SSL?TLSの仕組み

2. 常時SSLと部分的SSLの違い

SSL対応には大きく分けて二つの方法があります。

種類内容メリットデメリット
部分的SSL問い合わせフォームなど一部のページのみ暗号化必要最低限の対応で導入が容易ページによって通信保護の有無が異なり、統一感に欠ける
常時SSLサイト全体をHTTPSで統一SEO・ユーザー信頼・サイト運用の安定性に優れる既存サイトの設定変更・URL転送の手間が発生

かつては「問い合わせページだけSSL化すれば十分」とされていました。
しかし今は、常時SSL化が“標準仕様”です。
理由はシンプルで、サイト全体を安全な通信に統一することで、
Googleクローラーもページを安全に認識しやすくなり、URL転送や混在コンテンツによるSEOリスクを避けられるためです。


3. 常時SSL化のSEOへの影響

現時点では、常時SSL化そのものが検索順位に直接大きく影響するわけではありません。
ただし、間接的な効果は確実に存在します。

  • ユーザーの滞在時間・直帰率の改善(=信頼できるサイトと感じてもらいやすい)
  • ブラウザ警告の回避(=アクセス離脱を防ぐ)
  • モバイルフレンドリー施策との相乗効果
  • Web解析・広告計測の精度向上(HTTPS→HTTPの計測欠落を防ぐ)

SEOは「技術+信頼+体験」の総合評価で決まります。
常時SSLは、この3つすべてに関わる基本的なインフラ要素です。


4. 介護事業所サイトでの実務的ポイント

介護・福祉分野のホームページは、利用者や家族が安心して情報を閲覧し、
問い合わせや応募を行う「信頼の入口」です。
その意味で、常時SSL化は単なるSEO施策ではなく、安心を可視化するための基本設計といえます。

ここでは、介護事業所が常時SSL化を進める際に押さえておきたい実務上のポイントをまとめます。


① 技術面:通信を確実に安全にする

  1. サーバー環境とSSLの選択
     多くの中小事業所サイトでは、無料の「Let’s Encrypt(DV認証)」で十分対応できます。
     暗号化強度は有料証明書と変わらず、通信内容を安全に守れます。
     OVやEVなどの上位証明書は、当然コストもかかります。コストをかけてもより上位の証明書を必要とする金融・ECサイトなど「企業認証による信頼性の差別化」を狙う場合に検討するといいでしょう。
  2. HTTP→HTTPSへのリダイレクト
     .htaccess設定で301リダイレクトを行い、旧URL(http)の評価を新URL(https)に統合。
     設定漏れがあると、検索順位の評価が分散する原因になります。
  3. 混在コンテンツの解消
     SSL化後も、画像やスクリプトがHTTPのままだとブラウザが「安全でない」と警告を出します。
     内部リンクや画像URLをすべてHTTPSに統一しておくことが大切です。
  4. フォーム最適化とスパム対策
     SSL化だけでは安全性は完結しません。
     フォームにはreCAPTCHAなどのボット対策を導入し、送信データを最小限に設計。
     これにより、情報漏えいリスクや迷惑メールを減らせます。

先ほど話に上がったSSL認証の違いを下記にまとめておきます。

種類認証レベル検証内容表示適した用途特徴・備考
DV
(ドメイン認証)
基本ドメインの所有確認のみ鍵マーク+https一般的な企業・介護事業所・情報提供サイトLet’s Encryptなど無料SSLが該当。暗号化強度は十分。自動更新対応。
OV
(企業認証)
中程度企業名・所在地などの実在確認鍵マーク+証明書情報で企業名確認可官公庁・大手法人・取引サイト信頼性が高いが審査に時間とコストがかかる。
EV
(拡張認証)
法的実在・財務状況まで確認一部ブラウザで企業名を表示(緑色バー等)ECサイト・金融機関・寄付・契約サイト最も厳格な審査。コストが高く、導入件数は限定的。

② 運用面:移行後のSEO・計測・運用を安定化

  1. Google Search Console/Analyticsの更新
     HTTPS化後は、Search Consoleに新しいプロパティを登録し直します。
     旧URLの評価を確実に引き継ぐためにも、サイトマップの再送信を忘れずに。
  2. 外部リンク・SNS・求人媒体のURL更新
     自治体や求人サイトなどからの被リンク先がHTTPのままだとリダイレクトが発生します。
     直接HTTPSに更新依頼を出すと、アクセスの安定につながります。
  3. アクセス解析の精度向上
     HTTPSサイト間のアクセスはリファラー(参照元)情報が保持されます。
     常時SSL化によって、アクセス経路の分析精度が上がり、SEO改善の判断がしやすくなります。

③ 管理面:安全を維持する仕組みを作る

  1. CMSとプラグインの定期更新
     SSLを導入しても、CMSが古いままでは脆弱性が残ります。
     WordPressなどを使う場合は、更新・バックアップのルールを明確にしておきましょう。
  2. URL変更に伴う印刷物や案内の更新
     名刺やパンフレット、施設案内などのURL表記もHTTPSに統一。
     細部まで整っていることで、利用者に「きちんと管理されているサイト」という印象を与えます。
  3. 職員への共有とリテラシーの維持
     広報担当や現場職員にも「https=安全な通信」という基本を共有しておくと、
     不審なメールやフォーム送信にも敏感になり、セキュリティ意識の底上げにつながります。

④ 実務上のまとめ

常時SSL化は、SEOの順位を直接上げるためというよりも、
 利用者に「安心してアクセスできるサイト」と感じてもらうための最低限の基盤整備と考えるのが妥当です。

介護事業所サイトでは Let’s Encrypt(無料SSL)で十分な安全性を確保可能

大切なのは、証明書の種類ではなく フォーム最適化・CMS更新・スパム対策といった運用品質

常時SSL化は、SEOの順位を直接上げるためというよりも、利用者に「安心してアクセスできるサイト」と感じてもらうための最低限の基盤整備と考えるのが妥当です。

5. まとめ:常時SSLは“SEO対策”であり“信頼対策”

今や常時SSLは「やるかどうか」ではなく「いつやるか」の段階にあります。
直接的な順位上昇効果は限定的でも、
利用者の信頼・アクセス維持・長期的なSEO評価を支えるうえで、
確実に導入すべき技術です。

介護事業所のホームページ制作においても、
新規サイトでは初期設計段階から常時SSLを前提に構築するのが最も効率的です。

介護保険事業者で、まだSSL化していないと心配になった方、知りたいことがあればぜひウェルコネクトまで。

介護福祉のウェブ制作ウェルコネクト

編集:
介護福祉ウェブ制作ウェルコネクト編集部(主任介護支援専門員)

ケアマネジャーや地域包括支援センターなど相談業務に携わった経験や多職種連携スキルをもとに、介護福祉専門のウェブ制作ウェルコネクトを設立。情報発信と介護事業者に特化したウェブ制作サービスとAIを活用した業務改善提案を行う。

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