重要事項説明は、介護事業者にとって避けられない業務です。
しかしその30分〜60分は、本来もっと価値の高い業務に使える時間ではないでしょうか。
契約は大切です。だからこそ、正確に、わかりやすく伝える必要があります。
一方で、説明の「読み上げ」に専門職の時間を使い続けることが最適とは限りません。
GoogleのNotebookLMを活用すれば、重要事項説明書のPDFから解説動画を自動生成できます。特別な動画制作スキルや高額なコストは必要ありません。
本記事では、重要事項説明を動画化することで生まれる業務改善。介護現場における新しい選択肢を整理します。
この記事のコンテンツ
重要事項説明の負担感が大きい理由
ケアマネとして居宅介護支援事業所の管理者をしていた頃、毎週のように契約時の説明をしていました。重要事項説明書を広げ、確認の上で書面の内容を簡略化してはいるけれど重要なところは説明しなきゃいけないので丁寧に伝え、確認を取り、署名をいただく。
その繰り返しです。
ただ、正直に言えば、すべてを集中して聞いている利用者やご家族は多くありません。
それは無関心だからではありません。
介護の契約場面は、多くの場合、利用者や家族の間には混乱が生じています。

大きな生活スタイルの変化、予想もできない行動、経済的な不安、今後への不安、
こうした「混乱の渦中」で、専門用語の多い契約書を丁寧に理解するのは容易ではありません。どんなに懇切丁寧に説明しても、後日まったく同じ質問を受けることもあります。
説明する側にとっても、同じ内容を繰り返し読み上げることは負担です。
時間的な負担だけでなく、「本当に伝わっているのか」という心理的な負担もあります。
押し寄せる徒労感と無力感。
重要事項説明は本来、利用者の権利を守るためのものです。
しかし現実には、「読むこと」が目的化してしまっている場面も少なくありません。
だからこそ必要なのは、現場の負担を抑えながら、できるだけわかりやすく伝える方法を再構築することです。
重要なのは、
・説明の正確性を担保すること
・理解しやすい形で届けること
・現場の専門職の時間を有効活用すること
この3つを同時に満たす方法があるかどうかです。
その一つの選択肢が、「動画化」というアプローチです。
動画による重要事項説明を介護の現場にも
みなさんは、契約などの際に動画での説明を受けたことはありますか?
実は、介護業界以外では珍しくありません。

たとえば不動産業界では、賃貸契約や売買契約の重要事項説明をオンラインや動画で行うケースが増えています。金融業界でも、投資信託や保険商品のリスク説明を動画で事前視聴させる仕組みは一般的です。SaaSなどのITサービスでは、利用規約や重要事項を動画やチュートリアル形式で解説するのは当たり前になっています。
契約時にiPadを渡され、開始する動画を視聴する。動画が終了したら内容を確認したことについてサインする、などのパターンです。
あー、あれね。と、思い当たることもひとつやふたつ、必ずあるのではないでしょうか。
・説明者によるばらつきをなくす
・重要ポイントの抜け漏れを防ぐ
・何度でも見返せるようにする
・事前視聴で面談時間を有効活用する
これらはすべて、介護業界にも当てはまる課題です。
ではなぜ、介護では動画化が進まないのでしょうか。
理由はシンプルで、「動画制作はコストがかかる」という思い込みです。
従来の動画制作は、
・台本作成
・ナレーション収録
・撮影
・編集
・修正対応
と工程が多く、専門業者に依頼すれば数十万円単位になることもあります。現場が手を出しにくいのは当然です。
しかし今は状況が変わっています。
Google が提供するNotebookLMでは、PDFを読み込ませることで内容を要約・解説する音声コンテンツを生成できます。カスタム指示を使えば、
notobookLM動画解説 カスタムプロンプト例
「利用者に対する契約内容の説明。わかりやすく丁寧に。契約内容以外は話さない」
といった条件設定も可能です。
つまり、重要事項説明書のPDFを読み込ませるだけで、契約解説動画のたたき台が完成します。動画の作り方、詳細はこちらの記事に掲載しています。
特別な撮影機材も、編集スキルも不要です。
介護業界だけが、紙を読み上げ、時間と労力ばかりを消費し続ける必要はあるのでしょうか。
重要事項説明書動画のメリット
ちょっとイメージが付きにくいと思いますので、まずは私たちウェルコネクトでもホームページ制作に関する重要事項説明を動画にしています。
これ、指示一発だけです。もう少しこだわろうと思えば何度でも作り直せばいいのです。
また、契約書の記載事項が変わったら、新しいデータ・ファイルをアップロードして、また動画作成すればいいのです。簡単ですよね。
重要事項説明を動画に置き換えると、単に「説明が楽になる」という話では終わりません。
一番大きく変わるのは、時間の使い方です。
利用者や家族が動画を視聴している間、担当者はただ待つ必要はありません。
・ケアプランの下書きを整理する
・アセスメント内容を確認する
・生活動作や表情を観察する
・家族との何気ない会話から背景情報を拾う
これらはすべて、本来専門職が価値を発揮する時間です。
たとえば、この時点でケアプランの下書きだけ作る。その時に不足している情報にも気づくことができます。たいてい、ケアプランを作っているときに、「あれ?緊急時の連絡先ってどっちだっけ」とか「入浴ってどうしているのか聞いてくるの忘れた!」とか、忘れていることがあるんです。
それを確認するためにまた訪問したり、電話で確認したり(とりあえずそのままでケアプランつくって、担当者会議の時に手書きで追記したり・・・)。
つまり、重要事項説明を動画で行うことで、ケアプランの下書きまで完成し、契約締結の跡に補足情報を確認。あとは入力して印刷するだけ、という状況に持ってくることができるのです。これは大きな業務改善です。
重要事項説明は「読むこと」が目的ではありません。
利用者が理解し、納得し、安心してサービスを利用できることが本質です。
動画であれば、聞き直すこともできます。LINEなどで共有して、見返すこともできます。
その方が、実は理解度は高まるかもしれません。
もちろん、すべてを動画に置き換える必要はありません。
対面での補足説明や質疑応答は引き続き重要です。
介護現場は個別的で、特殊なケースも多いため、補足説明が必要な場面は必ずあります。
ただ、「全部を人が読む」という前提は、見直してもいい時期に来ているのではないでしょうか。
まとめ
重要事項説明はもちろん必要です。これがなければ運営基準違反です。
しかし、その時間の使い方は見直しができるのではないでしょうか。
AIや動画を使うことで、専門職が本当に専門性を発揮すべき時間を取り戻すことができます。
重要事項説明を動画化する。
それだけのことで、現場の30分の負担を軽減し、これが一年単位で見れば、大きな違いになります。
まずは自事業所の重要事項説明書をPDFで読み込ませてみる。
そこから始めてみてもいいかもしれません。

編集:
介護福祉ウェブ制作ウェルコネクト編集部(主任介護支援専門員)
ケアマネジャーや地域包括支援センターなど相談業務に携わった経験や多職種連携スキルをもとに、介護福祉専門のウェブ制作ウェルコネクトを設立。情報発信と介護事業者に特化したウェブ制作サービスとAIを活用した業務改善提案を行う。





