ケアプランデータ連携は本当にオトク?2026年介護報酬改定で変わるケアマネ処遇改善

「ケアプランデータ連携システム、入れた方がいいよ、っていうのは分かるけど…」という空気。

最近どこの居宅介護支援事業所でも一度は話題に出ていると思います。

ただ、現場の感じ方はどうでしょう。

  • 気にはなる
  • でも周りもそこまで使っていない
  • 正直、今すぐ困っているわけでもない
  • 今までの仕事、何かを変えるのはちょっと不安

というのが本音ではないでしょうか。

実際、介護保険事業所のうち、導入事業所の数はまだまだ1割台。
地域ごとに取り組み状況が大きく異なりますので、地域によってはそれを大きく下回るというという状況もあります。

介護報酬改定では居宅介護支援事業所や地域包括支援センターも処遇改善加算の対象となり、その要件がケアプランデータ連携システムの利用契約又はその予定ということになりました。
「処遇改善につながる=給料アップにつながる」
となれば、その関心度も強くなります。

ただ、まだまだ現状、
「関心はあるけれど、不安もある」
そんな段階にある事業所が多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、ケアプランデータ連携システムの導入を迷っている居宅介護支援事業所や地域包括支援センターに向けて、導入する・しないでどっちがお得なのかをわかりやすく解説したいと思います。
居宅介護支援事業所管理者や地域包括支援センター相談員として勤務していた経験も踏まえてお伝えできればと思います。

ケアプランデータ連携システムは、なぜここまで広がっていないのか

ケアプランデータ連携システムについては、
「便利そう」「方向性は分かる」という声がある一方で、
お伝えした通りまだまだ導入は進んでいるとは言えません。

この「温度差」には、はっきりとした理由があります。

システム導入の効果が見えにくい

まず一つ目は、
導入効果が分かりやすく見えにくいという点です。

ケアプランデータ連携は、

  • 何かを新しく生み出す
  • 売上が直接増える
  • 利用者が増える

といったシステムではありません。

その効果は

  • 情報のやり取りが早くなる
  • 紙や印刷コストが減る
  • 確認の作業・手間が減る

といった、日常業務の改善に現れます。

日本介護クラフトユニオン(以下:略=NCCU)の調査でも、導入事業所の約6割が「便利だと思う」と答えている一方で、
「とても楽になった」という評価は限定的でした。

そして、導入したことでむしろ「負担が増えた」と回答したケアマネも20.2%もいることがわかっています。

ケアプランデータ連携システム導入事業所のアンケート

※参照:日本介護クラフトユニオン「処遇改善策の新要件に関する事前調査結果報告~ケアプランデータ連携システムの現状と課題~」

つまり、
良くはなっているが、劇的ではない
むしろ、今までのやり方を変えることや導入の手続きなどで負担があった、と感じている方も1/5以上いるということがわかっています。
周囲の事業所からもそのような声が上がることも少なくなく、これが導入判断を慎重にさせています。

「相手が使っていないと意味がない」という現実

二つ目の理由は、
自分の事業所だけでは完結しない仕組みだということです。

調査でも、未導入の理由として多く挙がっているのが、

  • 連携先の事業所が使っていない
  • 地域全体で広がっていない

という声です。

ケアプランデータ連携は、居宅介護支援事業所とサービス事業所の双方が使ってこそ効果が出ます。

そのため、

  • 自分だけ入れても二重対応が発生する
  • 結局、紙やFAXも残る
  • 「今はまだ早いのでは」と感じてしまう

という判断になりやすいのも、無理はありません。
先ほど紹介したNCCUの調査でも、76.2%のケアマネは、
「一部の相手しか使っておらず紙・FAXが必要」と回答しています。
「相手側の事業所が使っていない」という回答も59.5%あることがわかります。

導入=業務が増えるのでは、という不安

三つ目は、
導入初期の負担に対する不安です。

NCCUの調査では、

  • 入力作業が増えたと感じる
  • 操作が分かりにくい
  • 既存ソフトとの併用が大変

といった声も一定数見られます。

ケアプランデータ連携システムを活用したくない理由

※参照:日本介護クラフトユニオン「処遇改善策の新要件に関する事前調査結果報告~ケアプランデータ連携システムの現状と課題~」

ケアプランデータ連携システムを活用したくないという理由では、
システム操作による職員の負担や、システムの使いにくさ、手間がかかるといった意見も多く見られました。

特に居宅介護支援事業所のケアマネについてはベテラン職員も多く、新しいシステムを導入して作業を一から覚えるのは大きな負担に感じるでしょう。
現役ケアマネの平均年齢は55歳と言われています。
この先何年この仕事を続けるのかと考えれば、
「これ以上仕事を増やしたくない」という感覚はとても自然です。

それでも制度は、少しずつ前に進んでいる

一方で、こうした現場の意見や普及率の問題を抱えながらも、国はケアプランデータ連携システム導入をさらに強く推し進めています。ケアプー推しです。

2026年の介護報酬改定では、

  • 居宅介護支援事業所
  • 地域包括支援センター

も処遇改善加算の対象となり、
その要件としてケアプランデータ連携システムの利用(または利用予定)が位置づけられました。

ここで重要なのは、
ケアプランデータ連携システムですべての情報共有を行っているかではなく、
システムを導入する予定があるかというところまで要件の幅がある点です。

  • フリープランで利用料免除期間を作ってまで
  • 処遇改善の加算要件としてまで
  • 導入見込みの事業所も含める形にハードルを下げて

そこまでして普及を進めようとしているということです。バーゲンセールとか出血大サービスどころの騒ぎじゃないってことですよ。
じゃあ、どっちが得なのか、利用料が復活してからもお得なのか、そこを見ていきましょう。

ケアプランデータ連携システム導入費用。入れる入れない、結局どっちが得なの?

ケアプランデータ連携「入れる・入れない」を費用面で整理してみましょう。

ケアプランデータ連携システムにはメリットもあれば、
正直なところデメリットや不安もあります。

なのでここでは一度、
感情や印象論を横に置いて、
処遇改善の要件として事業所やケアマネにとってどのくらいメリットがあるのかを解説します。

ケアプランデータ連携システムは導入する方が断然オトク!

ケアマネ処遇改善、加算率は2.1%!

2026年の介護報酬改定では、
居宅介護支援事業所や地域包括支援センターも処遇改善加算対象となりました。
これまで蚊帳の外にされていたケアマネも、処遇改善加算の仲間に入れてもらえたことで、給与の改善の可能性がわずかながら見えてきました(対象にならない可能性の大きい経営者ひとりケアマネ事業所にとっては残念な話ですが)

ここで大事なのは、加算率「2.1%」という数字と、
ケアプランデータ連携システムの利用料年間21,000円(税込)という数字を正しく理解することです。

処遇改善加算の金額比較

比較をわかりやすくするため、地域加算なし・1単位=10円 という前提で、利用者は全員要介護1または2として見ていきます(だったら特定事業所Ⅰなんてとれなくない?っていう指摘はもっともですが・・・加算の効果が少なかった場合の想定で)。

特定事業所加算なしの事業所A

1人あたり:1,086単位 × 10円 = 10,860円/月

利用者数月の報酬合計処遇改善2.1%(月)処遇改善2.1%(年)
10人108,600円約2,281円約27,372円
20人217,200円約4,561円約54,732円
40人434,400円約9,122円約109,464円

これを見てわかる通り、要介護1・2の利用者が10人いれば、少なくともケアプランデータ連携システムの年間利用料21,000円を超えることができます。
一人当たりの加算の金額で考えたら「たった230円/月か・・・」としか思えないのですが、一年間で、事業所全体でと考えれば、その金額は形になってイメージができないでしょうか。

そして、それが全部とは言わずとも、ケアマネとして働く従業員の給与につながると思えば。。。
つまり、利用者10人であったとしても、導入した方がお得になる、ということです。

特定事業所Ⅰの場合の処遇改善加算イメージ

仮に特定事業所であれば、利用者数が増えるほど、
2.1%の金額インパクトは確実に大きくなります。

1人あたり:(1,086+519)単位 × 10円 = 16,050円/月

利用者数月の報酬合計処遇改善2.1%(月)処遇改善2.1%(年)
10人160,500円約3,371円約40,452円
20人321,000円約6,741円約80,892円
40人642,000円約13,482円約161,784円

このように、特定事業所であれば基本単価が上がる分、処遇改善の上がり幅もでかくなります。利用者10人分で年間4万円になります。
当然特定事業所はケアマネの配置人数は多いわけですからその恩恵として得られる介護報酬の額も大きくなります。
事業所の規模が大きければ一か月で10数万収入が増える事業所だってあるでしょう。

特定事業所であれば、利用者ひとりあたりで、処遇改善加算の金額も228円→371円と、150円近く上がるわけですから。これは大きいですよね。

導入しない理由が費用・金額であれば、全く考える余地はありません。

もちろん、今はケアプランデータ連携システムのフリーパス期間中
2026年5月末までに申し込めば1年間は無料でシステムを利用することができます。

ケアプランデータ連携システムを利用した方が圧倒的にオトクなのです。

「業務改善にならないなら意味がない?」という疑問

懐疑的な方から見たら、システムを導入したとしても
「そこまで業務改善にならないなら、入れる意味あるの?」
というものです。

ここは正直に言うと、
「ですよね」
としか言いようがないです。

でも、ちょっと待って。

ケアプランデータ連携システムを活用している事業所が加算の対象になるわけではありません。
導入している事業所・導入予定の事業所が対象になるのです。
報告の時期までに体制を整えて、一回、どこかの事業所に協力してもらって試してみて・・・
というレベルで全く問題ないのです。

だから、負担になる・業務が煩雑になる・二重作業が必要になる、なんて心配をするよりも、
とりあえず入れおこうぜ。でいいのではないでしょうか。

どんなシステムでも、慣れる時間は必要です。
その時間をフリーパスという期間を設けている間に、ちょっとでも関心を持って、
「あ?ひょっとして使えるかも?」
と思うところまでたどり着ければ現時点ではOKではないでしょうか。

まだまだシステムの改良の余地はたくさん(腐るほど)あるので、それらの解消も進んで使いやすくなることも期待していくのがいいんじゃないでしょうか。

あっても使わないシステムだったら・・・意味あるの?

新しいことを習得する時間もないし、連携する相手もいない。
ひょっとしたら、使わないかもしれないシステム。
そんなもの、意味があるの?と思っている方も多いと思います。

・・・でも、どこかで「流れが変わるポイント」は確実に来ます。

ケアプランデータ連携について、
「周りが使っていないから意味がない」という声は、今も多いです。

ただ、状況は少しずつ変わり始めています。
フリーパスキャンペーンの効果もあって、
登録事業所数は大幅に増えています。

さらに、介護報酬改定では居宅介護支援事業所だけでなく、
訪問介護・通所介護など在宅系サービス事業所側でも、加算の要件にケアプランデータ連携が位置付けられました。

この影響で、
連携できる事業所は、確実に増えていくと考えられます。

すぐに爆発的に広がるとは限らない

ケアプランデータ連携が、

  • 一気に全国で当たり前になる
  • 来年には紙やFAXが消える

そんな厚生労働省が絵にかいたような未来が、すぐに来るとは考えにくい。

介護の現場では人手も時間も足りない。現場の年齢層も高い。
急激なイノベーションが起きにくい状況でもあり、広がり方はあくまで段階的です。

それでも「ブレイクポイント」は、どこかで来る

しかし、ケアプランデータ連携システムが爆発的に広がるブレイクポイントは確実に迫っていると思われます。そのきっかけは、例えば

  • ケアプランデータ連携自体の機能拡張
  • 2027年介護報酬改定での要件強化
  • 国が進めている介護情報基盤との本格的な結合

このどれか、あるいは複数が重なったタイミングなのか。

もしくは、地域を限定的にとらえれば、市内の地域包括支援センターが一斉にケアプランデータ連携システムを導入する、などのきっかけがあれば一気に広がるでしょう。

つまり、いまは
本格普及の“夜明け前”のフェーズにいるといえます。

今は「全部変える時期」ではなく「土台を作る時期」

大事なのは、ケアプランデータ連携システム導入=すべてが変わる、ではないということです。

ケアプランデータ連携を入れたからといって、

  • 業務が一変する
  • 連携が一気にスムーズになる

そんなことは起きません。
厚生労働省が描いたアホみたいな経済効果はきっとありません。

参照:公益社団法人国民健康保険中央会「ケアプランデータ連携システムヘルプデスク:システムの全体概要と機能」

今の位置づけは、

  • アカウントを作る
  • 環境を整える
  • 触ってみる
  • 流れを知る
  • 事業所内で共有する

この土台作りの時期です。

日常の業務をしている中で、
「あ、これだったらデータ連携の方が早いな」
「郵便時間かかりすぎだよね・・・やっぱ、使ってみようかな?」
現場から自然発生的にその必要性が高まってきたら、それがケアプランデータ連携システム運用を始めていけばいいのです。

なので、慣らし運転までいくことができればオッケーではないでしょうか。

導入がうまくいっている地域には「共通点」がある

地域ごとの登録状況や現場の事例を見ていると、
ケアプランデータ連携が比較的スムーズに広がっている地域には、
はっきりした共通点があります。

それは、

「現場を分かっている人が、伴走している」
という点です。

具体的な名前を上げれば、タダカヨさんのような介護現場を理解している団体です。
ケアプランデータ連携システムにおける彼らの貢献は偉大です。

  • システムの説明だけで終わらない
  • 現場の業務フローを理解している
  • 地域の主導的な役割を担うキーパーソンをがっちりキャッチする

こうした翻訳役・橋渡し役がいる地域は、普及・実践のスピードが爆速に広がります。

実際、介護の現場を熟知した協力者が関わるモデル地域では、
導入率・定着率ともに、桁違いに高いことがわかります。

ケアプランデータ連携システム成功のカギは「人」を育てられるかどうか

国がこれだけ推進しているので、導入率自体は上がるでしょう。
でもそれがゴールではありません。
データ連携が一般的になり、紙とFAXが激減し、業務効率化とスピード化が実現しなければ意味がありません。

そして、この先、ケアプランデータ連携がどこまで本当に根付くかは、
現場に寄り添って支える伴走型のIT人材を、どこまで育てられるか。

ここが最大のポイントです。

国が、

  • そうした人材を派遣していくことに予算をしっかりつけられるか
  • 現場と制度の間に立てる人を育成できるのか

システムの利用が広がるためにはこの部分のバックアップが不可欠になるでしょう。

まとめ|ケアプランデータ連携。今、導入しない理由はない

ケアプランデータ連携は、導入したからといって、
突然業務が半分に減るわけでも、世界がひっくり返るわけでも、シーズン開幕を待たずに湘南ベルマーレがJ1に復帰するわけでもありません(最後願望が・・・)。
そう、導入したからと言って、現場が激変するものではありません。

ただ、処遇改善加算の要件になり、
訪問・通所系の事業所側にも利用する理由が生まれ、
連携できる相手はこれから確実に増えていきます。

今は本番ではなく、土台作りの時期
日常的に業務として使う必要はなく、体制を整え、徐々に慣らしていきましょう。
いきなりゴールを目指すのではなく、新しいことを始めたときは、小さなステップを積み重ねていけばいいのです。

業務のデジタル化やAI活用などもそれと同じです。
私たちウェルコネクトはホームページ制作が本業ですが、
事業所のホームページの運用開始やリニューアルに関しても、最初から完成形を目指すだけでなく、徐々に育てていくことを提案しております。
そこで、現場職員の意識の高まりや、成長などとともに、大きな成果を生むことができるようになるのです。

ケアマネの仕事も、事業所の運営も、少しずつアップデートしていく時代です。

この機会にケアプランデータ連携システム導入を考えてみましょう。
不安ゼロでできるスタートなんてどこにもないのですから。

介護福祉のウェブ制作ウェルコネクト

編集:
介護福祉ウェブ制作ウェルコネクト編集部(主任介護支援専門員)

ケアマネジャーや地域包括支援センターなど相談業務に携わった経験や多職種連携スキルをもとに、介護福祉専門のウェブ制作ウェルコネクトを設立。情報発信と介護事業者に特化したウェブ制作サービスとAIを活用した業務改善提案を行う。

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